12月15日

 シラヌイに依頼をしてから一日。

 俺は幡生の居場所と、そこから出かけるルートを算出する。

 幡生は日に一日、愛人のいる東〇本山町に向かう。

 そこまでのルートで一番、狙撃がしやすい場所を選ぶ。

 そのための下準備は整った。

 明日は計画通りに暗殺ができるだろう。

 しかし、明理の父だ。殺してしまってかまわんのか?

 疑問の残る暗殺だ。

 明理は俺によくしてくれる。

 高校で唯一の友達だろう。

 とはいえ、俺は暗殺者だ。自分の敵になるものを助ける道理もない。

 狙撃銃のメンテナンスを終えると、地下室で試し撃ちをする。

 発射された弾丸は幡生の写真を撃ち抜く。

「OK、これでいこう」

 明日は幡生を殺す日。

「はりきりすぎよ。気を楽にして」

 シラヌイがそういい、俺の肩に手を置く。

「そうか?」

「人間って自分のことになるとバカになる、ってホントのようね。アカツキ、あなたは気を入れすぎよ。力を抜いて」

「俺に指図するな。俺はターゲットのことを考えているだけだ」

「だとしても、よ」

 シラヌイの言葉に若干の苛立ちを覚え、俺は寝床に入った。

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