12月14日

 俺が大河幡生を狙うと決めてから一日。

 色々と嗅ぎ回った。その結果、俺はヤクザのトップに目を付けられた。

 路上での取っ組み合いのケンカ。

 殴られた頬がまだ痛む。

 とはいえ、俺は訓練を受けてきた。ただのチンピラの拳くらいではへばったりしない。

 俺の目の前にヤクザのトップ、大河幡生が立つ。

「お主、なぜ嗅ぎ回っていた?」

 太く低い声の幡生は睨めつけてくる。

「俺は俺の意思で暗殺を行う。邪魔をするな」

「邪魔、とは……?」

 蓄えたひげを撫でる幡生。

「とぼけたか。幡生」

「ほほほ。わしを呼び捨てにする、その度胸は認めよう。じゃが、お前に言われる筋合いはない」

 そう言って幡生は俺を解放する。自分の身が狙われているとも知らずに。

 俺は事務所から追い出されると、計画を練る。

 セバスチャンが車で迎えに来てくれた。

 俺は乗り込むと、さっそくノートパソコンを開く。

「シラヌイ。ちょっと相談がある」

『いやよ。アカツキの依頼はしょっぱいもの』

 帰ってくる言葉はきついものだった。

「いや。今回は違うぞ」

 シラヌイに金額を言う。

「その依頼引き受けるわ。アカツキ」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る