12月13日

 俺が暗殺されると知ってから、一日。

 今のところ目立った動きはない。だが、俺は今日も暗殺をする。

 ルーグを狙撃したあと、異変に気がつく。

 俺は隣のビルを望遠鏡で覗いてみる。

 と、そこには少年が一人。こちらを見ている。

 あいつが新しい暗殺者か。

 俺はまだ生きていたい。だからあいつを殺す。

 狙いを変え、銃口を向ける。

 少年はビルの陰に入る。

 ちっ。逃げられたか。

 それにしても、大河たいがに裏切られるとはな。

 明理がいなければ、知り得なかった情報だ。

 俺が暗殺されれば、世界は平和になると信じている大河だが、それはすり替えにすぎない。

 暗殺者が変わったところで、この商売がなくなるわけではない。

 自分の手を汚さずに、暗殺者に任せる。

 そんな臆病者に、俺は負けない。

「次のターゲットが決まったぞ。セバスチャン」

「いかように」

「相手は大河幡生ばんしょうだ」

「……明理さまの父ではありませんか」

「しかし、依頼主だ。俺を殺すための」

 そう、俺を暗殺しようとしている依頼主を殺す。そうすれば、奴も暗殺する意思を失うだろう。

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