12月12日

 学校へ行くと、途中、明理と出会う。

「あ。芦田くん!」

 嬉しそうに手を振って近づいてくるのだった。

 そうして二人で学校へ向かうと、周囲から嫉妬の声が聞こえてくる。

 確かに明理は可愛い。それに比べ俺は地味なタイプの人間だ。

 嫉妬もいたしかたないのだろう。

 まあ、武力で黙らせることもできるが、俺は手加減ができない。殺してしまうだろう。

 それでは高校生活に支障をきたす。

 学校では地味で平凡な男を演じなくてはいけない。

 それが目下の悩みでもあるのだ。

 学校が終わると、俺は依頼主のもとへと向かう。

 その道中、明理と会う。

「これから仕事?」

「ああ」

 短く答えたが、ここまで俺を性格無慈悲に知っているのは大河明理、その人だけだ。

「じゃあ、重要な情報」

「なんだ?」

「芦田くん。いやアカツキ、暗殺者に狙われているよ」

「!!」

 驚きで声もでない。

 それだけ危険視されているということ。

 俺はまだ生きたい。

 そのための手立てを考えなくてはいけないのだ。

 これ以上明理に迷惑をかけてもしかたない。

 その場から立ち去り、依頼主に会いに行く。

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