12月11日

 僕はこの数日間でアカツキの弱点を知った。それは暗殺者として優れていること。これであのアカツキを殺せる。

 僕も暗殺者として名をはせるだろう。

 アカツキに偽の依頼をし、暗殺させる。それを繰り返すことでアカツキの潔癖さを知れた。

 つまりはこういうことだ。

 アカツキは僕の手の中でひらひらと踊っていたのだ。

 そろそろ、アカツキを殺せる準備が整う。

 クリスマスまであと13日。それまでに殺せばいい。

 依頼通り。計画通り。

 このままアカツキを葬る作戦は粛々と順調に進んでいる。


 ※※※


 そんなことを汁も知らず、俺は今日もターゲットをスコープに納める。

 トリガーを引き、発射された弾丸は二キロ先にいる女性の頭に突き刺さる。

「任務、完了」

 仕事を終えると、俺は帰宅する。

 妹の夏鈴かりんが文句を言う。

「おそい! いつも何をしているのさ」

「いいじゃないか、別に」

 俺は歯切れの悪い応えをする。

 夏鈴はブツブツと文句を言い続ける。

 これでも仲の良い兄妹だろう。本当に嫌いならこんなに話しかけてはこないのだから。

 俺は今日も家族と食卓を囲む。


 明日はどんな依頼が舞い込んでくるのか。父の仕事を受け継ぐのは難しい。

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