12月3日

 今日もいい天気だ。

 俺は昼休み、中庭のベンチで寝そべる。

 といつの間にかやってきた明理が不満げに言う。

「もう。こんなところで寝ていると風邪をひくよ」

 お説ごもっとも。この12月という時期。着込んでいなければ風邪を引いてしまう。

 だが、俺の身体は強くできている。問題ない。

「それにお昼にするよ」

 寒さからか閑散とした中庭には俺と明理しかいない。

「ふ。そうだな。今日は教室で頂くよ」

「そうね。ここは寒いし」

 明理は寒いらしい。

 俺は幼少期の訓練により寒暖差が分からない。暗殺には必要のない情報だからだ。

 それに加え人体改造。俺は人間であることをやめてしまった身。

 それを知ったらどれだけ驚くのだろうか。


 学校が終わり、放課後になると、俺は一人帰路につく。

 そこにはセバスチャンの姿がある。

 車で迎えにきてくれたらしい。

「で。岸本の様子は?」

「家から出ません。が、見取り図を入手しました。これで狙えます」

 そう言って紙媒体を渡してくる。

 さすがセバスチャン。用意周到だ。

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