12月2日

「ほう。それで今度の狙いは誰だ?」

岸本きしもと夏帆かほ。カクヨムのコンテストに参加している」

「またか。カクヨム、そんなに魑魅魍魎としているのか?」

 俺はそう呟き、学校への支度を済ませる。

「はい。どうやら今年は参加者も多く、その排除にあたる資金源もそうとうなものと聴いています」

「その金で自費出版すればいいものを」

 暗殺業を生業とする俺が言えたことではないか。

「今日は下見の準備をする。セバスチャン、用意してくれ」

「かしこまりました」

 高校へ行くと、必ず声をかけられる。その対象が大河たいが明理あかり

「今日はしかめっ面しなかったね」

「ああ。体調がいいからな」

 そんな何げない会話をする。

 大河。明理の名字だが、俺の記録の中に彼女の父の名前がある。確か大規模な暗殺者ヒットマンをやとっていたはずだ。

 ここでパイプをつないでいることは重要なはずだ。

 明理が俺に好意を寄せていることには気がついている。

 この間なんて、寝ている間に頬にキスをするくらいだ。


 だが、彼女のことも利用してやる。

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