四人目の外野手

ツヨシ

第1話

それはある夏の日のこと。

その日僕は高校野球の地方大会の予選に、選手として参加していた。

そして同点の七回表、うちの学校の攻撃の時だった。

僕はセンターの横に、もう一人の外野手がいるのに気がついた。

――えっ?

四人目の外野手は、見たことのないユニフォームを着ていた。

「あれ、誰?」

「えっ、なに?」

僕はセンターの横に四人目の外野手がいると言ったが、「どこだ」「そんな奴いないぞ」と言う反応だった。

相手校のセンターも、自分のすぐ横にいる選手に無反応だった。

「どうしたんだ」「大丈夫か」「水でも飲め」と口々に言われ、見間違いかとも思ったが、やはりどう見ても四人目の外野手が僕にははっきりと見えた。

――いったいなんなんだ、あいつは。

その時、フルスイングをしたバッターのバットが手を離れ、勢いよくネクストバッターサークルにいたチームメイトの胸を直撃した。

チームメイトは倒れ、胸を押さえて苦しんだ。

試合は一旦止まり、ベンチの全員が駆け寄った。

みんなで声をかけたが、チームメイトは真っ青な顔で苦しむばかり。

監督が連絡し、しばらくすると救急車のサイレンが聞こえた。

そして担架を持った救急隊員がグランドに来て、チームメイトを連れ出した。

「大丈夫か、あいつ」

「やけに苦しがっていたけど」

みんながざわついている中、僕は外野を見た。

そこにはまだ四人目の外野手がいた。

そして間違いなく、にたりと笑ったのだ。


       終

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四人目の外野手 ツヨシ @kunkunkonkon

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