第22話 狙い撃つぜ、シャドウ・ブラスターッ!

 エイ型円盤を見上げながら、シャドウ号は自信満々に答えた。


「あの円盤を破壊できるのか?」

『オレサマなら、な。たった今、オレサマは自分の役割を思い出した。オレサマは、あんたに使われるため生を受けたのだと!』


 シャドウ号が、ジョイスに視線を向ける。


『ジョイス、今のお前ならできる! お前にだってわかったはずだ。コイツの覚悟がよぉ!』


 戸惑いつつも、ジョイスはシャドウ号のいわんとしていることがわかったようだ。


「うむ! 身を挺してもらったのだ。この恩は返そう!」

『その意気だぜ、ジョイス! ではヒナト、オレサマの真の姿を公開しようじゃねえか!』


 よし、迷っていても仕方ない。秘策があるなら、乗ろうじゃないか。



『いくぜ! チェンジ、シャドウ・ブラスターッ!』


 シャドウ号の形状が、銃のように変形した。

 口は砲台となり、耳が照準装置に。

 後ろ足が引き金に、前足が持ち手になる。


「これは、キャノン砲だな?」

[シャドウ・ブラスター。ダイデンドーの新たな武器として登録します]


 どうも、新たな武装として発動するらしい。


「な、これは!?」


 リオに続き、ジョイスも獅子の口の中へ。

 服装も、青いパイロットスーツに上書きされる。

 リオの色違いだ。


「まあ、ジョイス」

「姫。これはいったい?」


 ジョイスのコックピットが、俺の身体にでき上がっている。

 席は、リオの右隣だ。


 リオの着席スペースは、相変わらずエレガントである。


 ジョイスの方は、今風のロボットアニメに出てきそうなビジュアルだ。


「ヒナト様の、ダイデンドーの体内です」

「ダイデンドーの? それにしても、これは……」


 ジョイスの眼前には、レバーが一本ある。


『いいかジョイス! そのレバーで、お前が照準を合わせるんだ!』


 シャドウ号の言葉を、ジョイスは瞬時に理解したらしい。


『ヤロウの弱点は、あのモニタだ』

「うむ。あそこだけ装甲が薄い」


 レバーを握りしめ、ジョイスはシャドウ号と、敵の弱点を確認し合う。


 自身の弱点をむき出しにしたままなのは、絶対に勝てると思っているからだ。

 その鼻っ柱をへし折ってやる。


『あのモンキーヤロウの顔面めがけて、ブチかましてやれ!』


「了解!」と短く答え、ジョイスはレバーに手をかける。


 俺の脚部に、シャドウ号のシッポが連結した。


 リオの魔力が、キャノン砲に注がれていく。

 キャノン砲の中で、魔力が増幅しているのがわかる。


「お? お?」


 俺の腕が、勝手に動いた。砲塔が、円盤へと誘導されていく。


「なんだぁ、あのヤロウ? 変形しやがったぜ! まあいっか。この【フォルネウス 一型】に届く武器なんてねえんだよ! みんなバラバラにしてやんよ!」

「たいりょうぎゃくさつ」


 赤いボタンに、マシラ男爵が指をかけた。

 エイのシッポに、稲妻が溜まっていく。

 また、雷撃を打つつもりか。


 コクピットの中で、リオがジョイスのレバーに手を添える。


「あなたを、信じます」

「姫……お役に立ってみせます!」


 ジョイスが、レバーのスイッチを押した。


『いくぜ、シャドウ・ブラスターッ!』


 青い閃光が、空へ向かって駆け抜ける。


「な、なんてパワーだ!」


 衝撃がすごい。踏ん張って、閃光の軌道を安定させるのが精一杯である。


 同時に、電流がエイのシッポから放たれた。


「ギャハハッハー。攻撃してきてもムダっつーの! いくら超火力があろうと、フォルネウスの電撃は何者の攻撃をも弾いて……弾き返されたああああ!」


 盛大にフラグを立てて、雷撃の方があっさりと弾かれる。


「とおおおお落ち着け落ち着け! 見ろよ、この高高度距離に届く武器など……届いたああああああ!」


 またしても、マシラ男爵はフラグを立てた。


 閃光はエイ円盤の胴体を、映像ごと貫く。

 だけではなく、周辺の飛行型ロボット軍まで道連れにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る