第13話 お姉ちゃん遅いな
「ふああ~あぁ~~~……」
と、ステレオタイプな伸びをして嘉村渚沙は布団から目覚めた。
身体を起こそうとするとじぶんの膝元でもそっと何かがうごめいた。黒い何かだった。ホラーな叙述をみずからしでかしてしまったところで丁度良く寝ぼけが醒めてきて、じぶんの隣で誰かが寝ていたことを推し量る。
姉ではない。
姉の好きな、儚い黒髪の女である。
嫌いである。
嫌いだから、起こしてやる。
「ぬぐっ」
「ごめんなさい、ほっぺたをかかとですりつぶすように踏みつけてしまいました」
「誤って踏んじゃうならまだしもすりつぶすのは何かしらの恣意がないと難しいんじゃないかな」
「ありますよ!悪意」
「そうなの!?」
恣意という語彙は留学帰りの高校生渚沙には少々難しかったのか。
「で、なんでわざわざ起こしてくれたの」
「秋田パイセンとわたしがふたりっきりになる瞬間って実は珍しいじゃないですかー。今までなんどかお邪魔したことはありましたけどいっつもお姉ちゃんの庇護下でしたからね。いろいろパイセンに聞きたいことあるんですよ!」
「なるほど……ああそっか買い物行ってくれてるのか茉希ちゃん。ごめんまだアルコールが抜け切ってなくて、そんな私でよければ」
「じゃあ」
秋田先輩が同じく起き上がり、渚沙と向き合ったのを確認してから
「なんで連続殺人事件に関わっちゃダメなんですか?」
「その文言だけ見たら至極当然でしょ」
秋田先輩はまだ本気で取り合ってくれてはいない様子だ。相手が自分の部下のさらに妹、年端もゆかぬ高校生となれば仕方ないのかもしれないけど。しかし渚沙には自負がある。今日一日、さまざまな深層の記録を読み漁ってこの事件に関してはそこらの一般人よりも多く知識を備えたのだ。
「わたしは今日のバイトでこの事件についていろいろ知りました! 被害者の住所とか、犯行時刻とか凶器とか。アメ横の犠牲者のうち一人にそこそこ偉い国会議員が混ざっていたのも知っています。しょーじきもうこんな感じで、あたしバッチリ関わっちゃるんですよ。で、たぶんこの件の危ないことについてはそのへんの人より詳しいと思ってます。もちろん秋田パイセンよりも!」
「ふうん」このヒトはまだ渚沙のことを見てくれていない。
「なので、あたし渚沙的には、あの楽しかったパーティーの雰囲気をぶち壊してまで、お土産のお酒まで持ってきてくれたお姉ちゃんに「関わるな」って忠告できてしまったパイセンの弔意を聞きたいわけなんです」
「渚沙ちゃんは生きてるだろうから弔意じゃなくて真意を伝えればいいんだろうけど」少し間を置いてから秋田先輩は、「今回の事件に関するいわゆる詳しさみたいなところで言えばきっと渚沙ちゃんのほうがもう上なんだと思うけど。そんなら、てか調べるまでもないかもだけど、二年前の池袋での事件のことも知ってるよね?」
あなたのお姉ちゃんも巻き込まれた。
そりゃあ、そんなもの、いやというほど。
「当時にしたらかなりセンセーショナルな出来事だった訳だけど──今じゃあ連続怪死事件の前哨戦だったんじゃないか、なんて不謹慎な位置づけすらされているよね。
じゃあ、四年前の新宿での事件のことはどう? 渚沙ちゃん、その頃何年生かな」
「うわ、いまのめっちゃ上から目線!」と毒づきつつ指折って、「四年前だから中一か中二だね──ん、あれ、その事件のこと」
本当に何も知らない。お姉ちゃんからも聞いたことない。
そういえば今朝、バイト前に大山さんから同じことを聞いていた気がするけど、
「新宿駅前でひとつの変死体が見つかって、その数日後に豪徳寺のアパートで心中死体がふたつ発見。犯人は未だ発見なしって当時はけっこう報道されてたはずなんだけどね」
やっぱり、ほんとうに何も知らない。
秋田パイセンが今語ったことも、あるいは今朝大山さんが話してくれたことも、今日読んでいたデータのどこかしらに書いていてもおかしくない情報のはずなのに……それもからっきし。
どういうことこれ?
「うわー、五時に夢中だよ!」
「五里霧中かな。とかく、当時もある一時からカルタ返したように報道規制が敷かれていたような気もするから、記憶にないのもそこまで不自然じゃないだろうけど」秋田先輩はだんだん酔いが覚めてきたのか饒舌になってきて、「そっか大山にも聞いてるんだっけ。じゃあこれ以上のことも話があったんじゃないかな?」
「これ以上の──?」
記憶の糸をたどる。渚沙はこの手のIQ的なことは昔から姉より得意だった。ええっと──そうだ。
「その、大山さんの知り合いがころされたと聞きました。その方は会社の仲間で……」
あ。てことは、
「そう、そのヒトは私の知り合いでもある」
カーテンの隙間からふうっと風が差し込んできた。
「そんな訳で私は昔、今と似たような事件で近しい人を亡くしているから、渚沙ちゃんや茉希ちゃんには決して危ないことに首を突っ込んでほしくない。これでご理解いただけたかな? ていうか、渚沙ちゃんがそのバイトをしようとしたのってお金に困ってるからだったよね? 他にもバイトなんていくらでもあるし、少しだったら今日のように私の家に居候にくればいいよ」
「いや、でもわるいですし……」
「二人が危険に晒される方が、私にとって悪いんだよ」
「うぅ」
なんかもう、お母さんにでも怒られている感覚で久しぶりだった。
渚沙の力ではこれ以上この先輩を言い負かせる気などしなかったし、他にバイトなんていくらでもあるというのはド正論だ。うう、日給五万円というのはでも惜しいな……
大山さんのバイトは、できれば諦めたくないのだけど……渚沙は参ったとばかりに天井を見上げながら、
「秋田パイセンのいきさつはわかりました。大山さんはでも、四年前のことを知ってるからってのをアドバンテージに今回の件の犯人捜しをしたいそうですけど」
「うん、私とは反応が真逆で面白いね」
「彼のことは止めなくてもいいんですか?」
「止めたいに決まってるよ。てか、犯人捜しが云々ってのは四年前からずっと言ってるんだよね大山。何度も止めてって言ってるのにもう聞く耳がないよね。きっと彼なりに、賞金欲しさ以上に思惑があるんだろうね──大山は見ての通り真意が掴みにくいけれど見るに違えて、それなりの真意で動く人だから」
やけに大山さんのこと知ってます感出すじゃん。
同じ話をお姉ちゃんの前でしたらよくないですよ先輩。というか、無頓着にしてるんだろうな。こりゃお姉ちゃん苦労するなーと思いつつ、渚沙はただの興味本位で、
「パイセンは、大山さんみたいに真犯人を突き止めたい、というか知りたい、的なのはないんですか?」
「ないね」
即答だった。
「知ったからってどうにかなる訳でもなし。そりゃ、あの友人を失ったのは悲しいけど」
あの友人を、という先輩の言い方は、なんとなく違和感があって。
「その友人さん──は、どういうヒトだったんですか?」
「難しいな。逆に大山はなんて言ってた?」
「えっと、サイゼ仲間だった、とか」
「そっか──そうだね」
──それっきり、秋田先輩はうつむいてしまってしばらく何も口に発しなかった。
なるほど、確かにウラのありそうな先輩である。お姉ちゃんはこんな先輩に沼っちゃった訳だと思うとその苦労が自然と慮られる。
そんなお姉ちゃんが隙あらば一緒に先輩と帰ろうとしたり家にあがろうとしたり──元々そんなに積極的なほうじゃないお姉ちゃんにしては珍しいアタックを、好意を、日々浴びていて──何とも思わないんですか。
というのを次に問い詰めるつもりだったのだが、もはやそんな空気ではなく、二人は少しの気まずさとともに茉希の買い物からの帰りを待つだけとなった。
お姉ちゃん遅いな。
コンビニで適当にウーロン茶や軽食を買ってビニール袋片手に出てきたところ、
包丁片手のそのヒトとわたしは出逢ってしまった。
あなた、どうしてここに──
「そんな面食らった顔をしないでくれ。安心して欲しいのは今ここで君を殺す気など微塵もない。そうする必然性がないし、そうすることで世界の運命に与えるダメージなどあって無いようなものだからだ。当座の問題は、君にとって今ここで私を止めることが運命の足しになるのか? 運命の辻妻が発動する契機となるのか? これに他ならない」
整理が追いつかない。
この人が何を言おうとしているのか、皆目掴めない。何より、あなたは──
「最近は殺さんとする際、周りの人だかりを見て「流離」する価値がある奴がいるかどうかどうかすらすぐ判別できるようになってね。なんとなく人生うまく行っていそうな奴を見つけたら喜んで流離させていただいている訳だが──いやはや、相変わらず世界は狂ったままで困惑している」
言いも知れぬ恐怖を覚えて、わたしは思わず先ほどまで居たコンビニへと駆け戻る。それがあの人からの逃避として何の利益ももたらさないなんて冷静な判断はできなくて。
「逃げるなよ」
わたしを当然追って入店してきたその人の姿は、ここにあってはならないもので。
「せ、先輩──ヤバイです」思わず呟く。
包丁を懐に携えたそのヒトは、秋田先輩の恋人、健志さんの顔をしていたのです。
*
大山友威は嘉村姉妹を見送ってからもひとり自室で作業を続けていた。
無職となり存分に時間を費やせるようになった、連続怪死事件当事者のプロファイリング。この懸賞金で十年食っていくキャリアプランだから実質労働である。
被害者の身元に関しては、嘉村渚沙の手伝いもあり概ね突き止めることができた。犠牲者リストと何日も睨めっこを試みてその度に確認するのは彼女らの共通点が奇妙なまでに見当たらない、所謂無差別殺人であるということ。事件を重ねるにつれて犠牲者数の規模がましていくというのに犯人らしき人物の痕跡がまったく掴めないのは、この事件におけるわかりやすい隘路である。
「犯人はどのように身を隠しているのか──というのはいずれボロを出すんだろうが、これ以上の犠牲を増やさない予防策として警察的な人たちは暴かなきゃいけないだろうな」
大山にとってもむろん、犯人特定の先を越されないために一刻も早く暴かなければならない事案といえる。インターネッツを漁っていてもオカルト陰謀めいた糞説以上のものは菅見のかぎり未だ転がっていない。一安心である、と不謹慎にも。
とかく、これまで氏名しか判っていなかった各犠牲者の個人情報は後ろ髪をぎりぎり引かれるレベルで手に入った。今日は大きな進捗を生めた。整理も終わったことだしそろそろ湧いてきた眠気に身をまかせようと、
「大山氏、事件発生最上川です」
思わずスマホの着信バイブ音の叙述を忘れるくらい唐突に電話が届いた。
「どうしたんですか雪島警部午前二時に電話だなんて社会不適合な真似をして」
「また、通報が入りました」
途端、眠気が霧消する。
電話の主、
「調布駅近くのコンビニで人殺しですという端的な110番があったみたいですね。私に先行してすでに何人かの署員がむかっており、確かにガイシャが転がっていて午前二時に違わぬ住民の騒然っぷりでしたね。店員は控室で寝てたっぽかったですけど」
「現行犯ですか? 店員に取り押さえられてたとか」
「いや、発見者の客から現場の通報があったっていうパターンですね。発見者というか、「発見者」ですが」
「なるほど」第一発見者、不審者、容疑者である。とにかくその人が一連の連続怪死事件の首謀である可能性を大山としては追わなければならないが、
「それで、今度は何人殺されたんですか?」
「それが……一人だけなんですよね」
「ええ」
それはおかしい。
都内連続怪死事件の真相および犯人にしか究極興味がない大山にとって「一人だけ」というのは当然致命的な報告である。池袋から歌舞伎町に至るまで犠牲者数が右肩上がりな現状、此度はあえて一人で済ませたという解釈は逆張りが過ぎるにせよ、一考の余地はあるだろう。しかし思い当れば今回の舞台は、
「調布のコンビニ、ですもんね」
「ええ、大山氏も邪推中かと存じますが、スケールダウンしてるのはガイシャの数だけじゃあないですね」
懸賞金にしか興味がない大山ならではの倫理観を欠いた推察によれば、池袋、上野、新橋、新宿と山手線沿線をさらっていって次に調布というのは違和感が残る。たった一人をコンビニにおいてもというのもまれだ。そもそもの一連の事件の殺戮動機がまったく読めない中ではあるものの──
「連続怪死事件とは同一犯じゃない可能性は十分にありつつ、含めて当事者の個人情報とかは一応洗って共有しておきますね。あ、あと今日池袋上野新橋新宿と全部一通りプロファイリングはしてるんでそれも」
「元から孤独と薄情の街東京なので、ちょっとでも類似する事件まで視野を広げればこういう例もいくらでもありますわな。一応調布の件は通報者をいち容疑者として睨んでいて事情聴取を進めてますまあ現場状況的にそんな難しい話じゃないと思いますし正味私たちの本命ではないでしょう──とはいえ」
「今起きていることが社会現実の範疇だ、というアンタらの姿勢が四年前の新宿と豪徳寺の事件の余波を未だに引き延ばしているし、今後も延ばす危険性がある──という事情は雪島警部がいくら社会不適合だったとしても汲み取ってくれるでしょうが」
「私が社会不適合だからこそ汲み取れるんですよ社会不適合」
「そうですね──」
雪島消は四年前、若干三十五歳ながら新宿警察署で署長、警視正の位置にあった。当時好んで着用していたパープルスーツが彼を一言で語るチャームとして業界でも有名であったほどらしい。所謂社会適合の鏡のような人で、大山からすれば同僚の秋田玲奈同様、眩しすぎて直視できないほど住まう次元が異なっているというのが本来だった──しかし四年前のあの事件を機に、雪島はいち署員へと格下げとなってしまう。
四年前の新宿、および豪徳寺の事件──というのは実のところ、公の記録上存在しない。検察からは「豪徳寺一家行方不明事件」として処理されている。しかし雪島がその目でみた事件現場には、明らかに死体がふたつあったのだ。
つまるところ、こうだ。ある瞬間から被害者二名が死んでいたのではなく、いなくなっていたことに公にはされてしまった。これは明らかに捜査の方向性に支障をきたす誤謬だ、として雪島は報告の再修正をなんども委員会でうったえた。その殊勝さが「社会」によって淘汰され、むしろ誤謬は雪島の存在そのものだとして彼は地位を追われ、今に至る。大山のような人間と密に連絡をとりあうような次元に降りていることは、雪島が社会不適合側に下ってしまった有様の象徴的状況といってよいだろう。
「じゃあ用済みってことでそろそろ床に就いていいですか雪島警部。俺もいくら無職とはいえ身体が社会人ナイズされきっていて夜更かしとか無理だし駄目だっていう義務感があるんですよ」
「是非その義務を遂行してください──今LINEで送られた犠牲者の個人情報、一晩で随分解像度があがりましたね。今日はやる気あったんですか?」
「バイトの子がね」
「雇ったって仰ってましたね英語が読めないとかなんとかで」
「いやそんなの翻訳ソフトにでも突っ込めばいい話なので本質じゃないですよ。俺としては今回の捜査、どんな手を使ってでも秋田さんを巻き込みたかったんで、とはいえいきなり直でコンタクト取るには俺の社会適合性(コミュ力)が足りていないし、普通に話しかけづらいので秋田さんシンパの後輩の家にバイト募集チラシ突っ込んだんです」
「えらい遠回りかつ不確実な手法ですね」
「わかっていないなこれだから元社会適合者は。遠回りかつ不確実だからいいんじゃないですか。文学を解さないですね。もしかして雪島さん中学生の頃とかラノベ新人賞応募したりしなかったタチですか?」
「交際経験なかったタチですか? みたいに言われましてもね。私理系なんで」
「道理でね」
それで、秋田さんとコンタクトは取れたのですか? と雪島は問う。
「秋田さんにも協力してもらうよう、例の姉妹には依頼済みですよ」
なんてったって、秋田さんは必ず、我々の知らないことを知っている。
「四年前、あの現場にいたのは雪島警部と秋田さん、それと秋田さんのおそらく彼氏」大山はあえて自分の記憶を改めて確かめるかのように、慣れないゆっくりとした語調で。
「後は事件直前の被害者と接触した大山氏」
「それ以外は運命を欠いたモブだ」
「また文学だ、それ嫌いなんですよ」
「この世界は案外人文で動いているんですよ元社会適合世間知らずが。もし俺が何となく四年前のあの日、同僚とサイゼリヤで一杯交わしていなかったらきっと犠牲者の存在を世界同様忘れていたでしょうし、もし俺が豪徳寺のこの事故物件に住んでなかったら、そもそも雪島警部とも会ってなかったですよね? 運命は選ばれるのを待つもんじゃなく自分から媚びに行くもんなんですよ。そうりゃあ運命は案外、都合よく動いてくれる。世界はそうやってできてるって信じるのが文学だ」
大山は、懸賞金を得るための連続怪死事件の犯人捜し。それと関連しているであろう四年前の犯人捜しのため。
雪島は、地位を失墜させた四年前の豪徳寺殺人事件の記録改竄の真相を暴くべく。
なぜか自分たちだけが存在を憶えている四年前の犠牲者を、根拠はないけれども高い確率で憶えているであろう──秋田玲奈(できればその彼氏)と接触するのが当座のミッションであった。大山と雪島の運命から、秋田玲奈を取り戻すこと。
なお、そんな彼らをもってしても、四年前の犠牲者の名前や性別すら記憶になく。
忘れたというよりは一週間前の晩御飯のようにもどかしく思い出せず。
あまりに不条理で、きっと自分たちが社会不適合だからなんでしょう、という文学的な解釈を雪島すらも受け容れていた。
なお、さらにひとつ付言すれば、
先ほど発生した調布駅前コンビニで上がった刺殺死体の身元がのちに発覚し、
吉井健志三十一歳、秋田玲奈と交際のあった者だといまや断定されている。
*
お姉ちゃん、本当に遅いな。
「ねえあたしのお姉ちゃんがパイセンのこと好きって気づいてますよね?」
「えっ!? その、尊敬的な意味で?」
「そうだとしてその聞き返しは豊満ですよ」
「傲慢だったかな、ごめんなさい」
みたいな恋バナも普通にできれば平和だったな、と閑寂のなか思う渚沙であった。
テーブル正面に座る眠そうな秋田先輩を見やりながら、現実のところふたりの意識は茉希ひとりへとむいていた。
恋バナの槍玉、ではもちろんなく。
「買い物時間かかりすぎでしょ!」とLINEしてみたものの既読すら一向につかず、先ほど目覚めてから一時間半はゆうに経っている。異常事態である。
お姉ちゃんどうしたんだろう。
瞬間、家のチャイムが細々と鳴り。
「お姉ちゃん! やっと帰ってきた! も~心配させて」
お姉ちゃんったら。
うん、何ともなさそうだね。
妹さんすごい心配してたんだからね。買い物してくれたのはありがたいけど、
ねえお姉ちゃんもう眠くなくなっちゃったし恋バナでも、
ね、お姉ちゃん?
(続)
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