第69話 二人が、ご対面?
ウィンが、帰ってこない。
いつもなら、こんな遅くならご飯を作って待っていたはずなのに……。
帰りも遅いと言ってたし、ウィンの身に危険があったのではないかと心配してしまう。
外に出て、カフェまでの道をたどって色々捜しまわる。
どこにもいない。暗い夜道、人気もまばら。大丈夫かな? 心配になってしまう。次の広場に居なかったら一回帰ってみよう。
そう考え、広場に視線を送った、その時。
目の前にある光景に、目を疑った。
ニナと、ウィンが一緒に公園の木のベンチで座って話しているのだ。まるで、姉妹みたいに。
待て待て、2人は赤の他人同士。何があったのか──。
取りあえず、行こう。俺は2人が座っている場所へ向かう。
「ガ、ガルド様──」
「せ、先輩!!」
同時に、俺の姿に気が付いて話しかけてきた。っして、ふたりは驚いて互いに顔を見合う。
「えっ??」
「え──」
「まさか、ウィンちゃんのお兄さんって──」
ウィンは顔を赤くして、恥ずかしそうに言葉を返す。
「ガ、ガルド様のことです」
ニナが、驚いて思わず立ち上がりウィンから離れてしまう。ああ、そんなふうに話していたのか。そして、俺の顔を見るなり口をかくかくした後に、言葉を返す。
「ウィンちゃんとは、本当にどういう関係なんですか?」
ニナの質問に、一瞬だけ動揺し、ニナから視線をそらしてしまう。まずい、拾っていっしょに住んでいるなんて、口が裂けても言えない。言ったら最後、女の子と連れ込んだ変態としてゴミを見るような目で蔑まれてしまうだろう。
何とか、それだけは避けないと。
──オホンと咳をした後、すぐにニナの方を向いて、言葉を返した。
「あ、ああ……。ウィンは、俺の妹なんだ。家賃のこともあり、一緒に暮らしている。そうだよな」
「は、はい」
ウィンは、戸惑いながらもコクリとうなづいて言葉を合わせてくれた。ありがとう。
ニナは、俺のことをじーっとジト目で見て、その後何かを察したように大きく息を吐いた。
「……分かりました。家族なんですね」
「ああ」
「そうですか、わかりました。幸せそうな兄妹ですね、うらやましいです」
「ありがとう、ございます」
何とか、ごまかせた──のか? ちょっと、何かを理解したような表情が気にはなったが。
そして、ニナはフッと微笑を浮かべて言葉を返す。
「ちょっとの時間ですが、ウィンちゃんといろいろ話せました。とてもよかったです。それでは私、家に帰るので、失礼します」
「本当にありがとうございました──」
ウィンが、頭を下げる。ニナは、こっちを振り向いて笑顔で手を振った。
「バイバイ、ウィンちゃん。また会って、ガールズトークしようね」
「はい!」
返事を返すウィンの口調が、どこか明るい。信用しているというのが良く分かる。
今日は、本当に助かった。
ニナ、最近成長がすごいと常々感じる。
どんどん冒険者としても、一人の人間としても頼もしく、強くなっている。顔つきも、以前は浮ついていたりちょっと軽い感じがしていたけれど今は違う。
綺麗な顔つきの中に、強さと頼もしさが混じっているような雰囲気になっている。
これもニナが言っていた、憧れている人が影響しているのだろうか。
その人に認めてもらおうと、目標をもって強くなっている。そんなことなのかな?
確実に、強く成長するだろう。ニナのこれからが楽しみだ。
「俺達も、帰ろうか」
「はい……」
そして俺はウィンの手を引いて、家へと帰っていく。
襲われたせいだろう、いつもよりぎゅっと強く、手を握ってくる。
怖かったんだな。
「ごめんねウィン。守って、上げられなくて」
ウィンは、すぐに首をぶんぶんと振って否定。
「あ、いいんです。こうして二人で一緒に居られるだけで、幸せですから」
ウィンの顔が、ほんのりと赤い。
その言葉に、ウソ偽りはないだろう。
そして、家に帰った俺達にはいつもの日常が待っていた。
ふたりで料理を作って──一緒に会話を弾ませながら食事をして。
シャワーを浴びて、ベッドで会話をしてから就寝。
当然、抱き合いながら。
そんな日常が戻ったのだが──寝るとき、今まで以上にウィンがベタベタしてくる。
今も──。
「ウ、ウィン──その……あまり押し付けないで」
顔を真っ赤にして、ウィンの肩を掴んで体を離そうとする。
「ダメです。ぎゅっとしてください。一緒にいたいんです。抱きしめたいです」
そう言って、ぎゅっと俺の胸に密着してくる。
おまけに、俺の身体にその豊満な胸を押し付けてくるのだ。
正直、理性を保つので精いっぱい。心臓が、爆発しそうなくらいドキドキしている。
普通の人よりも、一回り二回り大きい胸。それが俺の身体にあたってしまっている。
手で触れなくてもわかる。
マシュマロのように柔らかかくて、俺の理性を溶かしてしまいそうな形をしている。
もしその誘惑に抗えず、少しでも本能に身を任せてしまえば、もう止まることはできないだろう。
確実に、一線を越えてしまう。
いきなり腕に抱きついてきたり、手をつないできたり──。
当然ただつないでくるのではない。手を絡めあう、恋人つなぎというやつだ。
「ガルド様の手、あったかい。ずっと触っていたい──です」
「わ、分かったよ」
断ることは、、出来なかった。
確かに、最近調査で忙しくて、一緒にいれない時は増えた。それが原因なのかな……。
忙しくても、ウィンのことももっと見てあげないと──。さっきも危ない目にあったし。
まだまだ、ウィンの隣にいる物としては未熟だ。
ウィンが、安心して隣にいられるような人間でありたい。
そう、強く思うのであった──。
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