第102話 声を合わせてサヨナラ②

 私がいなくなった孤児たちはどうしたのか聞いても口を開こうとしない院長。


「黙っているのは構わぬが、そのまま黙ったままでいるのであれば詰所に連れて行き、拷問して吐いてもらうことになるがいいのだな。

 私は、痛い思いをする前にしゃべってしまった方がいいと思うがな」


「……」


 国王陛下にそう言われても、まだ黙ったままの院長。


「私がしゃべったことで、命の保証は国がしてくれるのか!!」


 国の金や貴族からの寄付を横領したのだ死罪もありうる罪なのに命の心配ですか。

 長生きしたいのならその体型をどうにかした方とも思いますけどね。


「安心しろ。お前が吐いたことは、結界の外に漏れることはない。

 罪を犯したんだ罪は償ってもらうがな」


「私が犯した罪は重罪ではありませんか。死罪になってしまいます。命の保証にはなりませんので話しません」


 死罪になるほどの罪だとわかっていて、罪を犯し贅沢三昧したのに死罪になるなら喋らないとか何て愚かな老害だ。


「安心しろ。知らぬ者も多くいるがスクラルド王国では、死罪は廃止されたからな」


 こういうのは、誰もが知っていた方がいいことではあるのだが、死罪があるから罪を犯がさないようにする抑止力になるので、国王陛下は敢えて大々的に公布していないらしい。


「本当ですか!!それなら喋ります。」


 院長は、死罪にならないならと喋る決意をしたようだけど、国王陛下は、鉱山がそこまで多くあるわけではないスクラルド王国では犯罪奴隷は、今のところ足りているから重犯罪者はあそこにぶちこむようにしているからね。死ぬこともないから丁度いいね。


「子供たちは……闇ギルド経由で、奴隷商に売ったり、闇ギルドがギルド員にするため闇ギルドに渡しておりました」


「闇ギルドが関わっているのか。確かにそれでは、喋ったことがバレたら殺されるな。

 よし、身の安全は保証すると言ったからな。

 詳細を聞いてからこやつを例の屋敷に連れていく。

 院長。貴様は、そこで一生罪を償い続けろ」


「わかりました」


 自身の知る全てを話し終えた院長を私は、国王陛下と一緒に旧アリステラ公爵本邸に転移で連れて行くことになった。


 私は結界を解き、副院長たち院長は罪を犯したので、処罰を受けるので連れていかれることとこれからは副院長が院長としてやっていってもらうことを伝えた。


「みんな。院長はもう居なくなります。最後に言ってやりなさい」


「院長。あなたの顔をもう見なくて済むと思うと清々します。サヨナラ」


『院長。サヨナラ』


 副院長の後に続き子供たちが打合せした通り、声を合わせてサヨナラと言った。


 お別れも済みましたし、元院長を乗せてから私、国王陛下、トマス王太子殿下、エリック宰相も魔道馬車に乗り込み馬車は出発しだしたので、私は国王陛下と元院長と共に転移魔法で転移した。


 これはどこからか闇ギルドの者が監視している可能性もあるし、私の転移魔法が闇ギルドに知れると危険があるだろうということでの対策だ。

 私たち以外を乗せた魔道馬車は、このまま王城に戻るだけだ。


 旧アリステラ公爵本邸に転移した私と国王陛下は、元院長を結界内に入らせ、再び孤児院に転移して戻った。

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