第57話 区画整備をしましょう②

 農業区画と住居区画は、終わったのであとは、残すは、商業区域とドワーフ族の鍛冶工房やエルフ族の魔道工房、錬金工房がある工業区画だね。


 工業区画は、マリアンナさんが村長をしていた村の手前から隣村のカバルさんが村長をしていた村までである。


 鍛冶工房は音が、錬金工房や魔道工房は爆発の危険性もあるので、建物の敷地を広くする必要があるので、工業区画が一番広い区画となる。


 商業区画は、他嶺からの人の出入りが多くなるので、ハルムート公爵領と隣接するナンシーさんが村長をしていた村から隣村のサラスさんが村長をしていた村だったところになる。


 工業区画の工房や商業区域の店や宿は、工房や店は、作ったり、商売の内容で店構えを変える必要もあるし、宿も同じ造りばかりでは駄目だし、高級宿や安宿で差をつける必要があるので、一軒ずつ建てていった。


 店や工房は、住居兼用にした方が絶対に便利なので、工業区画は、工房に隣接して家を建て、商業区画の店は、一階が店で、二階からが住居という店の造りにした。


「全部終わった」


「お疲れ様。アイリス。一日で全て終わらすなんてアイリスが居なければできないことだよね」


「そうですね。普通なら年単位の大仕事ですからね」


「手付かずのところは、新たな住民に来るかもしれない者の住居や店や工房を建てるためにわざと空けているのか」


「はい。そうです。流石、カイル兄様ですね」


「ところで、マンションが以前のマンションと違い資材が見たことが無いものに変わっているんだが……サクヤは知っているみたいだったがな」


「はい。前世の私が暮らしていた国のマンションを元に建てましたからね」


「料理はまだいいとして、建物まで前世の物を取り入れてしまったか。

 いずれはと思っていたが、既に完全に王都より立派な街並みになってしまったな」


「魔道具も動力は魔石ですが、前世の物を元にしているものばかりですよ。

 前世と比べるとまだまだですよ」


「前世の街並みと比べるんじゃない。

 魔法や魔石がないとはいえ、前世はこの世界より遥かに発展していたと聞いている」


「確かにそうですが、サクヤから聞いたのですか?」


「そうだよ。医療技術も進んでいると聞いているから、もし、この世界では未知の病気が発生したり、治せない病気の者がいた場合など、何かあったらサクヤに頼もうと思っている。勿論、アイリスにもな」


 サクヤは、この世界に召喚される前は、医師をしていたから病気とかの知識はあるからね。


 でも私もって言われたけど、私は違うから役に立つとは思わないけどな。


「病気の治療などに関しては、サクヤは兎も角、私が役に立つとは思えませんけど……」


「サクヤは、知識はあっても治癒魔法は使えないからな。

 そちらの面で、アイリスに頼るんだよ」


 なるほどね。それなら役に立てるかもだけど……


 そういえば、この世界の医療ってどういう感じなんだろうか?


 私やカイル兄様、使用人たちや町の住民たちも病気になったとかないし、聞かないからどんな感じかわからないんだよね。


 この町に病院とかもないし……そういうのやりたいという住民もいなかった。


 知識が必要だから、そういう知識がなくって、出来ないってのはあるかもだけどさ。


「カイル兄様。スクラルド王国というか、この世界では、病気になった場合は、どのようにしているのですか?」


「薬師に薬を処方してもらったり、神殿の神官や治癒師に治癒魔法で治してもらったりだな」


 そうなんだ。魔法が使える世界だからなんだろうけど、魔法で治すって感じか。


 手術が必要な病気だった場合、医師だったサクヤがって、思っていたけど前世の様に手術したら、人殺しとか騒ぎになっちゃうな。


 まあ、医療器具とかないから手術なんて出来ないけどさ。


 そんな話をしていたが、区画整備も終わったので、カイル兄様は、変わった街並みを見ながら帰りたいらしく、転移ではなく私たちは、魔動馬車に乗り、領主邸に帰ることにした。


 補足であるが、住居区域にも大きくはないけど、色々な店を建てましたよ。


 買い物に行くのにわざわざ毎日のように魔動馬車で何時間もかけて、買いに行くのは不便ですからね。

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