第34話 アリステラ公爵派の目的(公爵家当主Side)
時は、アイリスたちが旧公爵邸に旅立った日まで遡る。
「あの忌み子を捨てたのになぜ、うまくいかない!!」
忌み子がいなくなった責任取らせる形で、専属の二人をクビにした。
そこまでは順調だった。
しかし、いつの間にか領地の運営のほとんどを任せていたカイルが居なくなった。
それだけてなく、カイルの専属の者たち、それから料理長と料理人見習いが一人、私たちが気づかぬうちにカイルと一緒に居なくなっていた。
「くそ、カイルが居なければ、私が面倒な領地運営をしなければならないではないか。
次期当主になるために必要な経験を積ませるためだという体で、カイルに押し付けていたのに……」
カイルは、心が読めるのではないかというくらい、こちらの考えを読んで、行動できる優秀な子だったのに……居なくなるなんて大誤算だ。
「他の子では、カイルの代わりにはならんからな……」
次男のヒューイや三男のマイクは、誰に似たのか頭の出来がイマイチだし、任せたら間違いなく、公爵家は傾く。
女は、男に媚びることしか出来ず、男なしでは何も出来ないから、女に領地運営など出来るはずがないので、長女のミーナには、絶対に任せられない。
「私がやらねばならぬのか……愛しのマリアベルと遊びに行く時間やアリステラ公爵派の悲願を成すための実験に当てる時間が無くなってしまうではないか」
アリステラ公爵派は、愚かにも真面目に国を良くしようと躍起になっている王族派とは違う。
我々は、強力な力でまずはこの国を手に入れ、世界を治めるために、まず他人のスキルを他の者に移す実験していた。
スキルは、神から与えられるものだからなのか、何度やってもうまくいかなかった。
魔力が多ければ、多くの魔法が扱えるし、魔力が多い者は、長命である傾向があるので、次に他人の魔力を奪う実験をした。
これは一応、成功したといってもいいだろう。
多少は、魔力を奪えたのだからな。
だが、魔力が一・五倍になった頃から魔力を奪っても保有魔力は変わらなくなった。
そんな時に我々の元に魔族がやってきた。
その魔族の話によると、魔族の血を体内に取り込めば、魔力が爆発的に増え、不老不死になれるらしい。
そして我々は、不老不死の体と魔族と手を組むことにした。
不老不死になれば、老いることもなく、何があろうと死ぬこともないのだから、世界を治めることは容易い。
魔族は、その見返りに世界の半分を寄越せと要求してきたので、了承してやった。
まあ、渡す気はないがな……我々が膨大な魔力を手にし、不老不死になったら裏切ってやる。
魔族は、膨大な魔力を持ち、エルフ同様魔法に長けた種族だが、不老不死ではない。
普通の攻撃では殺すことが出来ないので、不死のように見られがちだが、強力な聖魔法で消滅できるのだ。
そして月日は流れ、ついにこの日がやってきた。
明日、魔王と側近たちがこの屋敷にやってきて、我らは膨大な魔力を手に入れ不老不死となり、この国は我々のものになるのだ。
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