第35話 王国のために役に立ってくださいねお父様①
姿を見られたら作戦が失敗に終わる可能性がある。
なので私は、自身とカイル兄様、前魔王のルシフェルに隠密魔法をかけて、アリステラ公爵家本邸の前まで行き、結界を張った。
「結界張り終えましたよ。
まだ、魔力供給の機能は組み込んでないですけどね」
魔力供給の機能は、後から追加で組み込む。
王国を被う結界は、まず私の魔力を使い張る。
そうしないと王国を被う結界は、国王陛下から頼まれたファミーユと同じ結界ではない結界になる。
中の者から魔力を使い結界を展開すると私のイメージで張られた結界ではないので、普通の結界になってしまい意味がないのだ。
私は、王国を被う結界は普通の結界でもいいと思っている。
他国の王族や貴族が来ることもあるし、入国時に結界に弾かれたりしたら、大問題になっちゃうだうから、入国の手続きの仕方を変更しなければならない。
まあ、私がどうこう言う必要はないんだけどね。
他国への結界に関する説明や入国手続きの変更は、国王陛下がやるだろうしね。
「馬車がやってきたな。私たちは、認識されないから馬車に轢かれぬよう少し移動しよう」
何台もの馬車がアリステラ公爵家の屋敷を目指してやって来て、当主を降ろすとまた馬車は去っていく。
「続々と貴族たちが到着してますね」
「全く愚かな者たちだな。当主が降りると馬車を帰らせるのは、王族派に集まりが感づかれないようにするためのことなのだろうな」
「意味なくないですか?」
何台もの馬車が時間をおかずに次々に来ていてはいみがないだろうに……
「だから我は、愚かだと言ったのだ」
「現魔王たちは、どうやってくるのかな?」
普通に来たらバレるから、転移してくるのかな。
ルシフェルみたいに変身魔法が使えれば、人間の姿になったりできるけどさ。
「奴らは、我と違って、変身魔法が使えんから屋敷内に転移してくるのだろう」
通常の結界と違って、結界内から外に出れないので、そんなことはないだろうけど、アリステラ公爵派の貴族が集まり始める前に結界を張ってしまっても問題ない。
それに予想はしていたので、外から中に転移はできるが中から外にはできない結界だ。
「結界を張ってしまっているが、スパイのカゲトラも一緒に来るのだが、外に出れるのか?」
「私が許可すれば、出れるよ」
「そうか。普通の結界は出入り自由だからな。このような結界は、アイリスに出会うまで、知らなかったからな。
もし出られなかったら、カゲトラも結界維持の供給源になってしまうからな」
そんなミスは犯さないよ。
もし、そんなことになったら、ルシフェルとの信頼関係が破綻して、敵対関係になっちゃうかもだしね。
まあ、負けないだろうけど……仲良くなったのに命を懸けて戦いたくないからね。
「アリステラ公爵派の貴族家当主は、全て集まったな。あとは魔族待ちか」
「そうですね。彼らには王国のために役立ってもらいましょう」
「「そうだな」」
今まで会話をしたことないですから、お父様なんて呼んだことない。
なので、尋問で関わったことが判明した者たちが連れてこられれば、屋敷の外に出てきたりするかもですから、出てきたら王国のために役に立ってねお父様とか言ってやりましょう。
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