第33話 愚かなり、アリステラ公爵家本家

 先ほど緊急会議が終わったので、屋敷に戻ってきた。

 今日は、本当に精神的に疲れた。


 スクラルド王国は、一部に差別主義者はいるものの他種族を受け入れている。


 しかし、流石に魔族とは敵対関係なので、前魔王や配下の魔族のことだけは国に報告しないわけにも行かなかったので、きちんと報告した。


 そして今回、国王陛下と人族と友好関係を築きたい元魔王の顔合わせなどを行った。


 すぐに顔合わせとならなかったのは、結界内に入れたから悪意はないと言っても信じれるわけもない。


 なので、ファミーユの住民と友好関係を築けるか確かめてからにと私が提案し、国王陛下と前魔王が承諾したからである。


 スクラルド王国は、この世界一の大国なので、他国に対する元魔王たちの対応は、国王陛下に丸投げだ。


 前魔王からもたらされた情報の中に私たちに関係するものが二つあった。


 一つ目は、スクラルド王国の複数の貴族が魔族の過激派と手を組んでいるとのことだった。


 そして、前魔王からの聞かされた特徴から導きだされたことは、過激派と手を組んでいる貴族の一つは、アリステラ公爵家だった。


 二つ目は、アリステラ公爵家が本邸を移し、七つの村が公爵家に見捨てられた原因になった事件は、過激派だった前魔王の先代魔王のしわざだった。


 先代魔王が、アリステラ公爵家の当時の当主の二人の子供の潜在能力を危険視して、能力が目覚める前に殺害するために魔物を操り殺害したということだ。


 つまり、アリステラ公爵家本家は、自分たちの先祖を殺した仇である先代魔王が属していた派閥の者たちと手を組んでいるということだ。


 本人たちは、この事実を知らないのだろうけど、なんとも愚かなことだ。


 国王陛下を含めて、アリステラ公爵家本家が何かやらかすとは思ってはいたが、とんでもないことを仕出かしたものだ。


 その先代魔王は、人族と友好関係を築きたいと思っていた前魔王の手により殺され、前魔王が魔王になったらしい。


 私たちは、先祖の仇を討ってくれた前魔王と友好関係になっているわけで、何にか感じるものがある。


 私は、疎まれていたので、他家との交流は皆無なのでわからないが、どうやら魔族の過激派と手を組んでいる貴族たちは、アリステラ公爵家がトップのアリステラ公爵派の貴族たちらしい。


 国王陛下とエリック宰相様が


「大掃除ができ、国の膿を出しきれる」


 と仰られていたので、ろくでもない貴族なのだろう。


 国王陛下は、エリック宰相様など私たちの動向を知っている国王陛下からの信頼を得ている王族派の貴族たちを集め、緊急会議を開いた。


 決まったことは、過激派魔族と手を組んでいるアリステラ派の貴族家は、一族全てが関与している場合は、その家はお取り潰し。


 当主だけや一部だけの場合は、家は残り関与していなかった者の中で、任せられる者を当主とする。


 スクラルド王国全体を被う結界を張ることも決まったので、ファミーユは、アリステラ公爵家の領地なので、私の魔力だけで維持している。


 だが、国全体を被う結界なので、国王陛下が私だけに負担をかけるわけにはいかないと仰られた。


 なので、関わった者たちの処罰は、結界を維持するための魔力供給源になってもらうことになった。


 前魔王が過激派に送り込んでいたスパイからの情報によると、行動に出るためにアリステラ公爵本邸に過激派の魔族のトップである現魔王とその側近たち、アリステラ派の貴族家当主が三ヶ月後に集まるらしい。


 なので、大した手間なく処理するためにアリステラ公爵家本邸を中から外に出れない結界で被い、本邸を国を被う結界に魔力供給をする場にしてしまうことにした。


 アリステラ公爵派の貴族家の一族や関係者全てを私が作る予定の嘘発見魔道具で調べ上げ、関与した者は、アリステラ公爵家本邸に連れていかれる。

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