第4話 とりあえず作物を育てました。そして発見

 村長さんが、戻ってきた。


「言われた通りに種を植えましたが、もし瘴気がなくなっていたとしても今植えたのは今が収穫時期の作物なので季節的に育ちませんよ」


「大丈夫です」


 私は、そう答えた。私も今植えてもらった種が普通にやったら育たないのはわかっている。


 だから、魔法やスキルを使う。


「ウォーターレイン」


 まずは、水魔法を使い畑に水やりをする。


「このくらいでいいかな、成長スキル発動」


 うんうん。芽が出てきて、葉っぱも生えてきた。蕾も出てきたて、花が咲いた。実ったね。よし


 この成長スキルは人間、動物、植物など成長させるスキルだ。


 人間だったら子供を大人にとか、まだ開花してない潜在能力を引き出したりとか。


 作物も同じで成長を早め実るようにしたのだ。


「凄い実った!!でもアイリス様、こんなことが出きるのでしたら浄化しなくてもよかったのでは?」


 マキさんが、私に質問してきた。村人たちもうんうんと頷いている。


 だが、浄化は必要だったからやったのだ。


「いくら成長スキル成長を早めても土がダメだと実らないので

 、村長さんも作物が育つように肥料をやったり色々試行錯誤されたのだと思いますが育たなかったでしょう?」


「はい、私には土に溜まった瘴気はどうにも出来ないので、肥料をやったりして何とかならないか試したりしましたが、やはり土から何とかしなければダメだったのですね」


「じゃあ、みんなで育った作物を収穫しましょう、実ることがわかってもらえたので、明日はこれからの時期に植える作物の苗を植えますよ」


「まだ午前中ですし、苗も今日中に植えられますよ」


「まあ、そうなんですけど皆さん、収穫した作物の味知りたいでしょう?」


 何十年も育たなかった作物が、立派に育ったのだからどんな味か気になるでしょう?私は気になります。



「何十年もまともな食べ物食べられなかったわけですし、なので私たちが持ってきた食材と取れたての物を使ってみんなでパーティしましょう」


「「「「やった」」」


 村人、特に子供たちが大喜びです。この笑顔を見れただけでもやってよかった思います。


「ゾイルさん、マキさん、私たちや村のみんなのために存分に腕ふるっちゃってください」


「「わかりました」」


 次に衣食住の衣と住の部分に取りかかりますよ。


 まあ、衣の部分はとりあえず持ってきた服を配るだけですけどね。


 のちのちは機織り仕事が得意なご婦人方に服を作ってもらうつもりですけどね。


 そんなことを考えながら道端に目をやる。


「あれ?これって?」


 前世でよく食べていた物にそっくりだ。とりあえず鑑定だ。


(鑑定)


 ライス草:道端によく生えている雑草。人は食べず、家畜の餌に使われる。地球でいうところの米。


 やっぱり米だ。日本でも朝食にパンって人もいるけど、私は断然ご飯派だった。


 でもこの世界にはパンしかなかったから米が無いものだと思っていた。


「村長さん、これって食べないんですか?」


「ああ、ライス草ですか……昔からどこでも家畜の餌に使われている物で、この村でも使われてますが、自分たちの食べる物もない状態だったので、雑草でも家畜の餌でも腹が膨れるならと食べてみたことがあるらしいのです」


 食べたことはあるってことは、今は食べて位ということか。



「しかし、不味くてとてもじゃないが食べられるようなものではなく、家畜の餌としてだけ使っているんですよ」


「ええ~!!炊きたてのご飯美味しいのに……何で?」


 私がショックでじっとライス草を見ているとカイル兄様に頭を撫でられた。


「私も実際に食べたことはないが不味いらしいのだが、何か知っているのか?」


「はい、このライス草は私の前世の世界にもあり、この世界みたいに道端に生えて無いですが、私がいた国では水田といって水を張った畑みたいな感じの農地で育てられていていました」


 こんなに道端にたくさん生えているものではなかった。


「私がいた国では主食でしたし、とても美味しいんですよ」


「違うものではないのか?」


「いいえ、鑑定で調べたら前世の物と同じものでした」


「じゃあ、調理の仕方が違うとかだろうか」


「村長さん、ライス草食べた村人って、どうやって食べたかってわかります?」


「私が食べたわけではないから、間違っているかもしれんが、実の部分だけをそのまま水に浸けて釜で炊いて食べたって話です」


「精米してないからですね」


「精米って何だ?」


 玄米のままで食べられるし、玄米の方が栄養価は高いけど、炊くのに時間かかる。


 更に硬かったり、糠のニオイが苦手だったりで、美味しくないって人が多数だったからね。


「このままでも食べられるのですが、時間もかかるし美味しくないってよく言われているので、米糠っていうこの茶色い皮とかを機械で取り除くことを精米って言い、精米すると真っ白な米と米糠に別れて真っ白な米を炊いて食べると美味しいんです」


「でも精米するための機械がなければ美味しく食べれないな」


「精米機ならありますよ」


「なぜあるのだ!!」


 私は疎まれていたので外にも出してもらえなかったので、カイル兄様たちに転生やスキルなどのことを話して、しばらくたった頃に米を見つけたら食べたいと思い創造魔法で精米機を作ったのだ。


 この世界には電気はなく、いろんな物が電気の代わりとなる魔石で動くので見た目は前世の精米機だが魔石で動くようにしてある。


「外に出してもらえず、暇だったのでいつか米を見つけたときに精米して食べられるように魔法で作りましたので、風の魔石があれば今すぐ精米出来ますよ」


「そうか……魔法で作ってしまったか……やはり規格外だな」


 カイル兄様が小声で言ったので聞き取れなかった。


「何か言いました?」


「何でもない……」


「そうですか」


 米を見つけたので食べられる楽しみが勝ったのでカイル兄様が何を言いたかったのかなどどうでもよくなった。お米、ご飯、美味しいご飯♪

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