第4話

 愛情とは、残酷な物なのかも知れません。


 今さらと、思いますが、今まで僕が、作ってきた物は、それを手に入れる事が出来れば、幸せだと前提に、考えてきた物ばかりです。


 でも、そうでは無かった様です。


 お父さんが注いだ、大きな愛情が、今、桜ちゃんを苦しめています。

 それは、大き過ぎたのでしょうか?優しすぎたのでしょうか?桜ちゃんの心は、お父さんを追って、違う世界へ出かけてしまった様です。


 時間をかけて育てられたら愛情は、失ってはいけない物の様です。


 どうやら、愛情と時間には、何か秘密があるようです。


 可愛い友人のために、何も出来ない僕は、無力です。桜ちゃんをもう一度、心からの笑顔にする事は、僕には出来そうもありません。


 しかし…。


 僕は、迷いましたが、いつの間にか、眠ってしまってしまいました。


「社長、起きて下さい」


 翌朝、出社してきた華さんに起こされました。

 

 コーヒーの良い香りが、鼻をくすぐります。


「桜ちゃんの様子は、どうですか?」


 僕の口からは、おはようございますの言葉よりも先に、その言葉が出ました。


「相変わらずです。時間が解決してくれるのを待つしか無いですね」


 やはり時間が、関係するようです。華さんだって、誰より悲しいはずです。


「よければ、もう少し休みますか?一週間くらいなら、何とか二人でやってみますが」


 嘘です。

 正直、華さんがいなければ、もう限界。


「いえ、仕事をしていた方が、気が紛れます」


 正直助かります。ホッとした僕は、華さんを研究室に案内しました。


 僕の考えた結論では、桜ちゃんが、お父さんから受けた愛情は、見えなくなっているだけです。

 まだ桜ちゃんの中に、残っていると思います。

 でも、このままでは…。


 自分自身で作っていながら、使い途が思いつかない物を華さんに紹介しました。


 僕は、嘘つきになろうと思います。

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