第2話 何気ない体育の着替え
「よっし〜〜〜!んじゃ、ホームルームまで寝るわ。」
俺はまぁまぁの寝不足である。入学初日の前日ですら友達みんなと遊びまくって、ゲームして、一人で夜な夜なアニメを見たのだ。
なので、つかれているにもかかわらず睡眠が全く足りてない。2時間しか寝ていない。
「えっ!席についてすぐ寝るのは…」
「いやいや〜もう俺は疲れたんだよぉ」
「まぁ、先生がいらっしゃったときはボクが起こすよ。」
「頼むわ〜マジで死にそ……う…zzz…」
「早すぎだろ。」
キレのいいツッコミを最後に、俺は夢の中に入っていった。
___________
「寝てしまった。初日から大丈夫なのか…?」
ボクは驚愕する。すごくマイペースで呑気で、そんでもって寝るのが早すぎる。そしていびきがうるさい。なんてやつだ。
「まぁ…まだ悟られてはいないな。」
この学校は制服を自由に、私服かどうかまでを選べるのだ。だからボクは着やすそうな男寄りの制服を選んだ。それが功を奏したのか。
ちなみにボクと景一は奇跡的に隣の席である。
「寝顔けっこうなんか…かわいいなぁ…」
ふと思っていると、先生らしき人がやってきた。
「おはようございます。ワタクシが本日から
1年4組を担任させていただく、大野遼平です。今後ともよろしくお願いいたします。」
起こすタイミングを逃してしまった。完全に忘れていた。
先生が自己紹介を終わると、
「じゃあみな、1限目は体育。さっそく体操服に着替えて、運動場へ。」
「1限目…体育かぁ。しんどいな。」
そうつぶやいていると、景一がおきた。
「…えぇ…?なんて言ってた…?眠いわ〜マジ。」
「すまん、ボク起こすの忘れてたわ。」
「あぁ、ええでええで、気持ちよかったし。」
眠いながら満面の笑みを見せてくる。
こちらも微笑みそうな笑顔。なんと可愛いか。
「1限目体育だそうだ。んじゃ、ボクは着替えてくるよ。」
そういって、教室を出ようとすると、
「あれ?ここで着替えへんのか?トイレとか、更衣室行くのめんどいやろ。」
4組は体育の時、男子が着替える更衣室と化す。そして5組に女子が集まって、結局4組は男子、5組は女子が着替えることになっている。そうするか、更衣室で着替えるか、トイレか。
「いや…なんか教室で着替えるのは嫌なんだよねぇ…。一人でささっと着替えたいのだよ。」
どうにかこれを口実にして隠し通せないだろうか。
「いやいや、まぁ俺という友達がいながら、今日は一緒に着替えんか。」
と、次の瞬間、景一がズボンをおろした。
「なにをやっているんだ!?や…め…」
「なーにさっきから言ってんだ。そんな俺のパンツがおかしいか。ちなみに今日は青色だぜ。」
「なにしてるんだ!??隠せ…かく…せよ。」
「お前さっきからなにいってんだ。顔赤いぞ。初日から熱か?」
「い…やそうじゃなく…て…カァァ//」
「男のパンツみてなーに恥ずかしがるんや。お前やっぱピュア?乙女っぽいとこあるな笑笑」
だって女の子だもん!言い返してやりたかったけど今言うと変な空気になりそうだから堪える。
「う…うっせ…んじゃあな!着替えてくるからな!」
顔を隠しながらそそくさと教室を出ていく。
「恥ずかしいよぉ…パンツ急に見せられたら誰だって取り乱すよぉ…カァァ//
もう…バカっ…。」
ボク、もしかしたらこういうの弱いかも。
てかパンツ情報言うなよ…恥ずいから。
とりあえず一人でトイレへ駆け込んだ。
____________
「…ん?どうしたんやろか、伊織よ。」
すごいなんか不思議に思う。でもパンツ如きで恥ずかしがる伊織も面白い。
でもあまり時間も残されていない。
「さっさと着替えて、行くとしますかね。
とりあえず伊織を探していきますか。」
俺は水筒をもって教室を飛び出す。
「はてはて、どこ着替えに行ったんやろ。まぁとりあえずトイレ行きたいし、トイレ行くか。」
俺は4組と同じフロアのトイレへ向かう。
「ファーー、やっぱ快感やわあ〜。」
とりあえず済ませてトイレを出る…と、
『うわぁあぁぁぁ!??!??!』
「お前どこおったんや、びっくりしたなぁ。」
トイレを出ると、伊織が顔を赤らめて突っ立っていた。
「やっぱお前、熱あるんとちゃうか?保健室行くか?」
少し心配である。
「行かないよ!大丈夫…だから…」
「まぁせやったらええねんけどな。てかどこで着替えとったんや。」
「まっ…まぁ更衣室で…着替えてたぞ。」
「へーそうかそうか。俺はめんどいから中学の時も教室で着替えてたで。二度手間はいややからな。」
「そ…そうか。まぁ…行くか。」
「せやな!はよ急がんと遅れるからな!」
俺ら2人で、猛ダッシュで運動場へ向かう。
________
走りながら思う。
(あっぶなぁ〜!!もうすぐで女子トイレから出てくるとかみられてすごい状況になるところだった…!やっぱり景一は色々と心臓に悪い…)
気遣ってくれるのは嬉しいのだが…こうさせたのは君の勘違いだぞう。
もうこうなったらどこまで隠し通せるか、やってやる!そう決意した。
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