16日目(金曜日)
第33話 待っていた陽太と人生が終了するかもしれない僕
翌日の朝。
住宅街の通学路を歩く中、僕はいつもの十字路に行くと、陽太が待っていた。いや、正確には陽太だけ待っていた。
「瑞奈は?」
「ああ、瑞奈なら、先に学校へ行ったよ」
陽太の答えとともに、僕のスマホが何回か震え、見れば、瑞奈からのMINEだった。
― わたしは先に学校へ行ってます ―
― なので、お兄さんに聞き出してください ―
― 誰が好きなのかということを ―
僕は読むなり、「頑張るよ」と返事をしておいた。すると、すぐにメッセージが入ってくる。
― 聞き出せなかったら、殺します ―
瑞奈の物騒な言葉に、僕はため息をつきたくなる。どうやら、僕が陽太から聞き出せなければ、今日で人生は終了らしい。冗談だと思うけど。多分。
「何だか元気なさそうだね」
「あっ、まあ、中間テストがあまり」
僕はスマホをしまい、誤魔化す形で声をこぼす。
「そっか」
「その、一緒に勉強を手伝ったりしてもらったのに悪かったなって」
「いいよいいよ。自分としても、教える立場から、色々と勉強になったからね」
「それなら、まあ、いいけど」
「それよりも、和希」
「何?」
「テストがあまりよくなかったのは、高村さんに振られたからとか?」
陽太の率直そうな質問に対して。
僕は「まあね」と首を縦に振った。
「とりあえず、テストが終わったことだし、詳しい話を聞こうかなって」
「そう、だね。陽太に話したら、色々と気が晴れそうな気がするかも」
「だといいけどね」
陽太は笑みを浮かべると、足を動かす。
僕は遅れて駆け寄り、並んで学校へ向かい始めた。
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