5日目(月曜日)
第19話 未亜のことを聞いてくる陽太と昼休みに用事ができる僕
「で、土曜はあの後、どうだったんだい?」
翌日の朝、僕は住宅街の通学路を歩く陽太から尋ねられていた。
「富永さんのこと?」
「そうだね」
相槌を打つ陽太。
一方でその兄の隣にいる瑞奈は不満げそうな表情をしている。まあ、話としては面白くないだろう。
「お兄さん、そんなことより、昨日一緒に観た映画の話をしたいです」
「その話は昨日十分したと思うけども」
「いえ、わたしはまだ話足りないです」
かぶりを振る瑞奈。ちなみに観に行った映画は高校生の男女が主人公の青春アニメだったはず。SNSでも評判上々で、映画のランキングでも一位を保ち続けていた。
「しょうがないな」
陽太は頭を掻きつつ、困ったような顔をするも、瑞奈の方へ目を移す。
まあ、教室とかで聞かれることになるだろうなと思いつつも、僕は安堵をした。瑞奈の前で未亜や皐月さんのことを話すのは非常にしづらいだろうからだ。
と、スマホが震え、取り出してみれば、未亜からのメッセージだった。というのも、一昨日、皐月さんのマンションから帰る途中、MINEのアカウント交換をしたのだ。皐月さんとは結局、しなかったのだけれども。
― 昼休み、生徒会室集合でよろしくー。 ―
読むなり、僕は早速かと思わずにはいられなかった。
同時に誰かの視線を感じたので、見れば、瑞奈と目が合う。訝しげな表情をしており、変に隠したら、後で問い詰められるかもしれない。
僕は未亜に「了解」という二文字を打ち、スマホをしまう。
ひとまず、今日、陽太とお昼を共にすることは諦めるしかなさそうだ。
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