第19話 結局、黒幕とは
「助かったわ、ありがとう」
「あの人たちは?」黒澤は調理屋の3人を一瞥して尋ねた。
「中継地点に置いてきた彼から、応援要請が通ったって連絡が入ったから大丈夫。そしたら町に連れ帰るから大丈夫よ」
「そうか」
「ほっとしてる?」
「なにが?」
「あなたのお父さん、黒澤藤吾の名前が出なくて」
「さぁ」
「さぁって、あんたね」
「さすがに自分の名前をホイホイ使うほど、頭の悪い奴じゃないよ、あの親父は」
黒澤はそう言って、テントから引きずりだしたキャンプ用チェアに腰掛けた。じきに応援がやって来ると、保安官たちは調理屋の3人と梓、自分を連れて森を後にした。数名が調査のために残ったようだ。
後に梓から聞いた話だが、3人は本当に黒幕のことを何も知らなかった。
調剤していた”タブレット”はクスリとしてはなかなかの出来栄えだったらしく、裏社会で流通が始まったばかりのものだった。その世界では人気のあったもので、それの製造が止まってしまったのだから、黒幕はなにかしら動きを見せるかもしれないだろう、というのが彼らの見解だった。
黒澤への礼金も確認がとれ、彼はすぐに自宅の修繕をした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます