四月一日の嘘
枯れ尾花
四月一日
四月一日、豊留は嘘をつこうとしていた。
相手はというと俺と同じ珍しい苗字を持つ母、豊留 香苗だ。
帰宅中に嘘の具体的な内容は決めたので、後は玄関で上手く話をするだけだった。
「あら、おかえりなさい。」
いつも通りの母がそこにいた。
「あのさ、突然なんだけどさ今度の春休みいつものメンバーで少し遠くに遊びにいってもいいかな?」
母が怪しい目を向けてくる。
「遠くって?」
「岩手とかかな…。」
「場所はまだ決まってないわけね?それでいつものメンバーっていうのは本当なの?」
「本当です。」
「ならいいわ。しっかり自分達で計画立てるのよ。」
「はーい。」
こうして俺は家を出た。
「嘘、バレなかったね。」
「私が居たから信じてくれたんだよ!」
「やっぱり誘って正解だった。俺だけだったら絶対嘘がバレるんだよなー。」
「表情にすぐ出ちゃうもん!よ~し、じゃあお母さんの言う通り今から計画を練ろうか!」
「はーい。」
秘密の2人旅行に行くことになった。
四月一日の嘘 枯れ尾花 @nonokajt
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