第二話「人間との邂逅」
ロリコンドラゴンに対する、聖剣によるリアの鋭い一撃は――
「何で避けるんだよ!?」
――回避されていた。
「わ、儂も驚いておるのじゃ! どうやら、〝イキたい〟というドM性癖よりも、〝生きたい〟という生物としての本能の方が上回ったようじゃ」
そう答えるロリコンドラゴンに対して、リアは、
「今度は避けるなよ?」
と言って、再度聖剣を上段に構える。
「お主、儂が言った事を聞いておらんかったのかのう!?」
と、蒼褪めつつロリコンドラゴンが後退りするが、リアは、
「問答無用! たぁ!」
と、飛び掛かった――
「!」
――直後。
「……何か……来る……!」
迫り来る者の気配を感じ取ったリアは、ロリコンドラゴンの頭部に聖剣が触れる直前に、ピタリと動きを止めた。
そして、
「人間だ! 何か食い物持ってるかも!」
と言うと、黒翼を広げて、高速で飛んで行った。
ロリコンドラゴンは、
「た、助かったのじゃ……」
と、冷や汗を流しながら、呟いた。
近付きつつあったのは、馬車だった。
行商人らしき男性が一人、御者台に座り、手綱を握りつつ、二頭の馬を走らせている。
そんな彼の上空から突如――
「あんた、何か食べる物持ってない?」
「!?」
――幼女のような声がした。
見ると、黒翼を広げた幼女――の姿をした何かが、自分に問い掛けていた。
馬車と同じ速さで上空を飛ぶ、その異形の幼女もどきを見た男性は――
「うわああああああああああ!」
――悲鳴を上げた。
そして、馬たちを操り、進路を変更して、逃げて行った。
「あれ? 何で逃げるんだ?」
と、空中で首を傾げるリアに対して、漸く追い付いたロリコンドラゴンが、
「普通の人間は、黒翼など持っておらぬからのう。モンスターだと思われたのかもしれんのう」
と、同じく空中に浮かびながら言った。
リアは、
「え!? あたし、可愛いだろ!? そんなあたしを見て、モンスターなんかと勘違いするのか!?」
と、心底心外だ、という表情で唇を尖らせた。
ロリコンドラゴンは、
「人間は、臆病な生き物じゃからのう。〝自分たちと違うもの〟に対しては、恐怖を覚えて、逃げるか、または排除しようとするのじゃ」
と、答えた。
リアは、
「ふ~ん」
と反応した後、
「あたしをモンスター扱いしたアイツ、ムカつくな! 襲って、食べ物を奪ってやる!」
と言って、必死に逃げている馬車を追い掛けようとした。
が、
「まぁ、待つのじゃ。ドラゴンの儂が言うのもなんじゃが、人間同士で争っても、良い事は無いじゃろうて」
と、ロリコンドラゴンが止めた。
リアは、
「止めるな! あたしは、腹減ってるんだ! それとも、やっぱりあんたがあたしに食べられるか?」
と言うと、ロリコンドラゴンは、
「ああ! 幼女に生きたまま食べられる! 究極の体験じゃ!」
と、身悶えした後、冷静になり、コホン、と咳払いして、
「空腹ならば、人間の街に行けば、幾らでも食べ物があるのじゃ」
と、言った。
リアが、
「そうか! 街か! その手があったな! じゃあ、街に行く! で、どこにあるんだ?」
と質問すると、ロリコンドラゴンは、
「先程の人間は、恐らく行商人じゃろう。商品を売りに行く所だったと考えられるのじゃ。となると、お主が現れる前にあの人間が向かっていた方向へと向かえば、街があるはずじゃ」
と、答えた。
すると、リアは、
「そうと分かれば、善は急げだ! よし、行こう!」
と、高速で飛んで行った。
その後を、ロリコンドラゴンは、
「少しは、この愛らしいサイズの儂の事も気遣って欲しいのじゃ~!」
と、ヒーヒー言いながら、小さな翼で羽ばたきつつ、必死に追い掛けて行った。
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