で、何事?
「今が2115年でぇ…」
「ウン!」
「…えぇと、つまり戦争に負けてぇ…」
「ウン!」
「しかも…その火付け役は宇宙人でぇ…」
「ウン!」
「で、日本は乗っ取られてぇ…」
「ウン!」
「この街が放棄されてぇ…」
「ウン!」
「無法が法のやばい街が出来た…ってことでいい?」
「ウン!」
「ウンウンウンウンうっさいなぁもう!誰がそんなの信じられるか!!」
「信じるもなにも、それが真実だヨ!」
「あれ?カタコト喋りちょっと無くなった?」
「希代のストーリーテラーは聴き取りやすい声で喋るものだヨ…」
はぁ…このキブリっていうロボットから色々聞いたけど…ほんっとに意味がわからない、、、
そもそもこれって現実?宇宙人?確かにうちらの頃流行ったけど…でもそんなこと…
「まだ何か質問がございますノカ!」
「質問の質問がしたいし…分からないが分からないよ…とにかく、今はもう私の生きた時代じゃないってことだけは把握したよ。」
「ァ!そういえばお嬢さんお名前パ?」
「私の名前はルミ。池田瑠美。」
「イケダルミ?」
「イケダ・ルミ!」
「もしかしてファミリーネームを持ってルノ!?」
キブリは大きな身体を仰け反らせた。
「苗字のこと?持ってるよ、そりゃ。キブリは無いの?」
キブリは大きな身体を縮こませて呟いた。
「ウン…なんたって僕は古いロボットだからネ…。あるのは識別番号とこの名前だけだヨ…」
「ふーん…」
古いって言っても、私が生きてた時代より、何十年も後なんだろーなぁ…
「ああ、ていうかキブリはここで何してたの?」
キブリは街の方へ錆び付いた大きな2本指を向けた。
「博士を探してるんだ!僕は、僕の生い立ちを知らないからネ!」
生い立ちを知らない…私とは真逆だ。私は、今を知らない。キブリは、少なからず私よりも今を知っている。それに、私も100年前に何が起きたか、知りたい。
これは…使える。
「キブリ!それ、私も手伝う。だからキブリも、私の記憶の終を探すの、手伝ってくれない?私、多分ほかの人より強いから、ボディーガードもできるよ。」
キブリは真ん丸で無機質な目を大きく見開いて輝かせてみせた。
「もちロン!ハハ!僕だって強いヨ!ボクシングキット1〜524までダウンロード済だヨ!てなワケデ…それじゃあ背中に乗って!」
せ、背中に?半信半疑のまましゃがんだキブリの上に乗る。すると背中からなんとも座り心地の悪い椅子が出てきて私の体重を支える。
「ちょ、キブリこれはどう言う…」
「さァ、空の旅へ出発ダ!!」
そう言うとキブリの手足は大きな筒状のロケットのような形になり、そしてそのまま、空高く飛び上がり、街を見下ろしていた山を更に見下ろす。
「うわぁああぁああああああぁああえぇええ!?!!!」
「ヒャッッッホーー!空は気持ちいがイイネ!」
こんな取引、しなければよかった、、、、
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