トラベラーズと、連綿の行方。
魔女とブリキのロボット
「じゃあなルミ。次に目覚めるのは...100年後か?クク、”死ねない”という”死”を喰らえ。」
...どこだ...ここ。真っ暗だ。身体が動かせる程のスペースもない。全身が冷たい。
なにかの箱に入れられている?だとしたら、閉めるための蓋、もしくは開閉できる部分があるはず。仕方ない、アレを使うしかなさそう。
「魔導六唱の四、エアロ。」
そう唱えた瞬間、強い突風が吹き、箱が開く。月明かりが目に刺さる。
「眩し...!」
数分経ち、やっと目が光に慣れる。幸い夜だった為、すぐに光に慣れた。
箱から顔を出し、周りを見渡す。どうやら山の中に棄てられていたみたいだ。
この箱...棺桶?私、棺桶に閉じ込められてたの?なんて悪趣味なの...。それに記憶も曖昧だ。
棺桶に入れられる前は何をしていた...?
名前だって分かる、計算、言葉だって喋れるし、魔法も使える。
基本的な事は覚えている。ただ、大きな記憶がすっぽりと抜けている。
箱から出て、ゆっくりと立ち上がろうとする。
しかし、身体が何故か覚束無い。
「なんでこんなに身体に力が入らないの...。」
兎にも角にも私は、ここがどこだか知るために山を登った。
30分程登り、やっと山の頂上に着いた。身体はだいぶ馴染んできた。目を擦り、山の頂上から周りを見渡す。
「...何よここ...どこなの......?」
目の前の光景に絶句する。
いくつも並ぶ高層ビル、空中には...なんだ?道路が浮いており、謎の乗り物やロボットが走っている。巨大なモニターが所々で現れては消える。
赤、紫、青、緑、黄。
様々な電光色が都市をネオンカラーに飾り上げている。
そこで、一つの馬鹿な考えが思い浮かぶ。
まさか私、何百年も寝てた?
気付いたら文明開化してる...?
「...なわけないか。」
「ドウシタノ!ォ嬢サン!コンナ夜中ニ!家ニ帰レナクナッチャッタカイ?僕ガ導イテアゲヨウカ?ナンテッタッテ僕ハ最高の交通誘導ロボットダカラネ!」
突然背後から声をかけられる。
驚き振り向くと、そこには2mを優に超える、錆びたブリキのようなロボットが立っていた。
「ァ!自己紹介遅レタネ!僕ノ名前ハ、キブリ!世ニモ優秀ナ鉄谷博士の名作ロボット!ホラ!手カラ花ダッテ出セルヨ!」
そう言うと、ロボットは左腕から赤い花を出し、私に差し出した。
「あ、ありがと...。」
理解できない状況が、全く理解できない状況へと昇華する。
ツッコミどころが多すぎて...頭が回らない...
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