第8話
張り込みをさせてから正義のヒーローハクの動画が出ていない。正義のヒーローハクの狙いは仁十重の殺害であって警察への危害ではないためうまくいっているようだ。
俺たちは他にもハクの情報を集めているがハクはおそらく1,6,100の3人の内のだれかだろう。
すると慌てた様子で井佐が会議室に走り込んできた。
井佐「ハクが動画を投稿しています。」
桜田「なに」
でも仁十重が殺されたという報告はないぞ。
井佐が動画を再生した。
「正義のヒーローハクで~す。今回の動画は警察への宣戦布告です。3区の中のどこかに爆弾を仕掛けさせていただきました。タイムリミットは明日の15時で~す。真偽が本当か分からない記事は鵜吞みにしないようにしましょう。」
井佐「急に物騒なこと言いますね。これいたずらなんでしょうか?」
桜田「もしハクが研究所の子供たちだったらこれをいたずらですると思うか?」
井佐「研究所の子供たちだったら本気で爆弾を仕掛けていると思います。」
桜田「そうだろ。俺もそう思う。」
俺は急いで捜査に関わる人を動かしこの管轄全警察官に爆弾を見つけるように言った。
神紀「桜田動画見たか?」
桜田「ああ」
神紀「ハクが本気を出してきたようだぞ。正義のヒーローが普通爆弾なんて仕掛けるか」
と神紀は笑っているが俺は正直笑い事ではない。神紀はまだハクの正体について予想すら立っていないまだ笑えるのであろうが俺と井佐は正体についておおよその見当がついているため笑えない。
俺は滝見から聞いた話を神紀にした。するとこの動画を冗談として見ていた神紀が血相を変えてこの動画を見るようになった。
3区は広いため手当たり次第に爆弾を見つけていれば時間が足りなく爆弾が爆発してしまうだろう。そのためヒントを求めるように俺と井佐と神紀が動画を見ているとあることに気が付く。
井佐「この動画の背景、本棚ですね」
この動画の背景はすべて本なのである。前回の動画は殺される人が後ろにいたためその人が主役なのが分かるが今回は本が主役と言うことなのだろうか。
桜田「本棚をもっとズームできるか?」
神紀「有名な本ばかりだな。俺でも知っている。」
井佐「それにしてもハクはよくこれほどの本を集めましたね。」
すると俺はあることに気が付いた。
桜田「この本、全部日本新聞社が発売している本じゃないか。」
神紀「ハクはよほど本が好きなのか?」
井佐「これほどの本を集めたんですかね。同じ出版社ばかりの本を」
私は何か引っかかる。
桜田「もし、この本を集めたのではなく撮影した場所に本があったとしたら」と俺が言うと桜田を神紀の顔色が明らかに悪くなった。
井佐「俺、小手図と石見野を連れて日本新聞社に行ってきます。」
そう言うと井佐は急いで行った。
井佐が編集長室が動画と全く同じ部屋の作りをしているとの報告を受けたのですぐに爆弾処理班を向かわせた。
その間に防犯カメラの映像を見ると日本新聞社にハクが入った様子は無いが映像が一瞬途切れる箇所がある。そこを調べてもらうとハクと思わしき人物の映像が出てきた。見た感じ普通の女の子だがこの子がハクで間違えないだろう。
爆弾処理が終わりひと段落着いたと思いきや15時ぴったり次の動画が投稿された。
「みなさんこんにちは正義のヒーローハクです。警察の皆さん爆弾処理おめでとうございます。」そう言い警察が日本新聞社の中に入っていく様子や爆弾処理をしている様子が映し出された。
「今日はこの人!!仁十重茂樹(にとえしげき)国防庁元大臣です。今回は毒ではなくこの薬で挑戦してもらいたいと思います。ルールは簡単、この薬10錠飲んで生きていたら自宅へ帰します。」
ハクはそう言い1錠ずつ飲ませていく。
「おおすごいね。」と言い飲ませるハク。
5錠までは何の変化もなく飲めていたが6錠目で異変が起きた。
仁十重元大臣が嘔吐したのだ。
「薬が効き始めているね」ハクが笑いながら言っている。
そこからは地獄絵図だった。仁十重元大臣が泣きながら「たすけてくれ」と言っていたが8錠目にはついに動かなくなった。初めは嘔吐だったものが途中から赤い色が混じった液体になっていたが最終的には真っ赤な液体が口や目、耳から溢れ出していた。それでもハクは残りの2錠を仁十重元大臣の口に押し込んだ。
ハクは動画の最後に明日の10時~14時の間「思い出の地で待っています」とだけを言いこの動画が終わった。
この動画の概要欄には不祥事がたくさん書いてあるネットニュースがあったが今の俺にはそんな事はどうでもよかった。
俺は思い出の地が研究施設であることはすぐに予想が付き明日行くことにした。
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