14.神龍(後編)

14.神龍(後編)

「それじゃあ最初はこいつで行こう!ハァッ!」

 俺が鮮変万華せんぺんばんかに火属性の魔力を通すと、刀身が赤く染まっていく。

炎刃えんじん一式、絶火ぜっかッ!」

 俺が刀を振ると、炎をまとった斬撃がゼロノスに向かって放たれる。

『何のこれしき!』

 ゼロノスは尾で斬撃を払いのけた………が、斬撃は消えることなく彼を襲い続けた。

「俺の絶火は絶えることのない炎なんだ。ちょっとやそっとで消えはしない」

 この絶火は俺の地獄の業火を圧縮してできているから、早々消えないのだ。

『消えぬ炎の斬撃か、これまた面白いな!だがな、そんなもので我の鱗が砕けると思うなよ?』

「ならば数を増やすまで!炎刃えんじん一式、絶火ぜっか、七連ッ!」

 さらに七つの絶火がゼロノスに向かって飛んでいく。

『それも全部無駄だっ!フリーズブレスッ!』

 ゴォォォッ!という轟音とともに俺の絶火は氷のブレスによってできた氷塊に閉じ込められた。

「くそっ、消せないと分かって閉じ込めたのか!」

 しかし、これ以上絶火一個辺りの熱量は変えられないからな………そうか!

『貴様もその程度か!』

「いいや、まだまだこれからよ!」

 俺は刀に通す魔力を風属性に変えた。すると今度は刀身が赤色から緑色になった。

風刃ふうじん一式、殺爪さっそうッ!」

 殺爪は一太刀に俺の剣技、「絶対切断」を何重にも重ねた斬撃だ。それでゼロノスの鱗………ではなく、ゼロノスの作った氷塊を砕く!

 パキンッ!という音と共に砕けた氷塊の中から飛び出した絶火がその勢いを取り戻す。

『ハッ!たかが我の氷塊を砕いたぐらいで何を良い気になっているんだ?』

「もちろんなってねぇーよっ!」

 そう言って俺は八つの絶火を一つの大きな炎の刃に結合し、刀身に火と風の2種類の魔力を通した。刀身は赤色と緑色が交互に並んだ色となり、そこに込められたエネルギーは炎刃、風刃単体を遥かに上回っている。

「いくぜっ、炎風刃えんぷうじん一式、炎嵐えんらんッ!」

 先程結合した大きな炎の刃に昇竜の竜巻が入り込んだことで、周りの空気を更に取り込んだ炎の刃はその勢いを更に増し、ゼロノスへと飛んでいった。


―――パリンッ!


『グハッ………!面白い!この我の鱗を砕いたのは貴様が初めてだ。だが残念だ、我の体はまたたく間に再生してしまうぞ!』

 くそっ!少しでも動きを止められれば、あの技が使えるのに………そうか!この方法ならコイツの動きを一瞬だけれども止められる!

 俺は刀に水と風の二種類の属性の魔力を通した。すると今度は刀身が水色と緑色が交互に並んだ色となった。

氷風刃ひょうふううじん二式、凍龍とうりゅうッ!」

 小さい氷の粒を含んだ風の龍がゼロノスの砕けた鱗めがけて食らいつく。風の龍の口では俺の剣術スキル「絶対切断」が発動しているので、ゼロノスの鱗はさらに砕け、ヒビが広がった。そしてその隙間に風の龍が運んだ小さい氷の粒が入ると、またたく間にゼロノスの血が凍りだしたのだ。そう、この氷の粒は「女神の涙」の氷だから、触れたものを一瞬で凍らせるのだ!

『なっ!体が動かん………貴様、何をした!』

「ちょっとお前の血を凍らせた。これでお前はしばらく動けまい」

 今のうちに早く準備をしなければ!アレをやるには30秒くらい予備時間が必要になるからな。

「ご主人さま、あの技を使うつもりですか?」

『あれ使っちゃうの?ドラゴンさん大丈夫かなー?』

「まぁ仮にも神龍なんだし大丈夫だろ?」

 そう言って俺は鮮変万華に魔力を込める。

『ふんっ!よし、これで我はまた自由に動けるぞ!まぁ、我を少しの時間だが止められたことを誇りに思うが良い!』

 ゼロノスはそう言って、口を大きく開く。

「ちょうど時間も十分に稼げた。これで終わりだ!」

 俺は刀を鞘に納め、居合の構えを取る。

―――『ゴットドラゴンブレスッ!』

―――「吸魔の太刀、滅光斬ッ!」

 ゼロノスの銀色のブレスと俺の滅光斬が衝突し、激しい爆発が起こった。

 ゴホッ!俺は血を吐いた。流石に神龍の、それも奥義みたいなゴッドドラゴンブレスは潰しきれなかったか………

 ―――吸魔の太刀、滅光斬。それは俺の「無限の闇牢」を斬撃にまとわせ、相手の攻撃の魔力を吸収して威力を強くしながら、全てを切り裂く斬撃である。

 ゼロノスはというと、俺の滅光斬をゴッドドラゴンブレスで相殺そうさいしかけたものの、結果的に押し負けてもろに食らってしまったため、首が切り落とされてしまったのだ。

『ねー、リュートー』

「なんだ、プニタ?」

『そのドラゴンさん復活させられないの?』

「なんでだ?」

『うーん、そのドラゴンさんがいなくなると、この森の他の魔物が暴れだしちゃうかもしれないんだよー』

「なるほどな、生態系みたいな感じか。それなら復活させてやらないと大変なことになりそうだな。それじゃあ聖魔法 “神の奇跡” ッ!」

 俺は1年に一度しか使えないが代わりに傷、病気、怪我などのどんな状態異常も治すことができる「神の奇跡」を使って、ゼロノスの首を胴体に繋げたのだ。





リュートのステータス

Lv:10001

HP:測定不能エラー

MP:測定不能エラー

獲得スキル一覧:(剣術系)縮地、絶対切断、次元切り、持久力、駆け足、神速移動

(魔法系)苦痛耐性、錬金術、生活魔法、火魔法、水魔法、風魔法、土魔法、雷魔法、聖魔法、闇魔法、時空魔法、空間魔法、ストレージ、ダストボックス、転移魔法、創造魔法、テイム、魔物意思疎通、魔物召喚

(その他)手加減、自動解体

ユニークスキル一覧:ナビゲート

称号:異世界人、苦痛に耐えし者、不運の象徴、修行バカ、ドM気質、ドMを極めしもの、剣神、魔帝、鬼殺し、神を模倣する者

鮮変万華の技:

『炎刃』一式「絶火」

『風刃』一式「殺爪」

『炎風刃』一式「炎嵐」

『氷風刃』二式「凍龍」

『吸魔の太刀』滅光斬

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