23.エルフの女

23.エルフの女

「空飛ぶのも慣れるとめっちゃ楽しいな!」

『速いねー』

「ご主人さま、もう少しゆっくり飛ばないと魔物が見つかりませんよ?」

「確かにそうだな………あ、でも神眼使えばどうにかなるかもしれないな」

 俺は神眼を起動させ、俺を中心に半径3キロの生物を察知できるように設定する。

「おっ ⁉ もしかしてアレは………」

 早速さっそく何か人型ひとがたの魔物みたいなやつが神眼に引っかかる。おそらくアレは神鬼と神豚に似てるし、ゴブリンとオークってところかな?でもなんだかその一行が何かを追いかけているように見える。

『ねーリュートー!なんか女の子が下の道を逃げてるよー』

とプニタが教えてくれる。

「え、何でプニタがそんなこと分かるんだ?」

「おそらく神眼の性質の一つとして従魔にも自然とご主人さまの見ている情景が見えるようになっているんでしょう。まぁ、当然私にも見えてますけどね!えーっと、ちなみに後ろを追っているのはゴブリンロード率いるゴブリンとオークの群れのようです。この情報に間違いはありません。もう、私は間違えませんからっ!」

「あはは、悪かったって!」

 俺はそう謝りながら、真下の森の中の道を走って逃げている女の子とゴブリンロード(?)の間に降り立った。そいつは神鬼より二周りくらい小さく、周りに群がっている小鬼たちを指揮してフードを被っている女の人を襲わせていたのだ。

『な、なんだ貴様は!』

 はーい、テンプレ回答来ましたっ!襲っていたところを俺に邪魔されたんだもんね。まぁ、そういう反応になるわな。

 そういえば、こいつらもゴブリンとオークなんだから討伐対象だよな?ってことは………殲滅せんめつだぁッ!

「俺はリュート。冒険者をやっている。悪いが今からお前らを倒す!」

『オメェ、言葉が通じるのか!』

生憎あいにくだが俺はお前らと話す気はないっ!女の人を襲っている時点でお前ら全員ギルティ―――ッ!」

 俺は中指を立ててファッキングポーズをする。

『ふざけた小僧だ。やい、お前ら、やっちまえぇ!』

 そう言ってゴブリンロードは周りのゴブリンとオークたちに俺を襲うよう命令した。

(はぁ、討伐部位持ってかなきゃいけないから消滅させるようなやつはだめだな………)

 とりあえず俺はストレージから鮮変万華せんぺんばんかを取り出した。

「剣技、居合斬り―――斬撃範囲拡張ッ!」

 魔力を伴わない剣技のみの攻撃が炸裂さくれつする。

『ハハハ!何も起こらないではないか!やはり口だけか、ハッハッハッ!』

「何も起ってない?フッ、自分の体をよく見てから言うんだな!」

『ガハハハハ、お前、バカだな?この通り俺らはピンピンしてるぜぇ!なぁ?』

『ギィィィィィィ!(はい!)』

『プギィィィィィィ!(はい!)』

「じゃあ、これで気づけよっ!と」

 俺は鮮変万華の側面で思いっきりくうを打った。すると、俺の前から強風が吹き出してゴブリンロードたちに命中する。刹那、彼らの上半身は下半身からズルっとスライドするようにして落ちた。

『なっ ?! どういうことだ!なんで俺様は空を見てるんだ!』

 いや、まず自分が斬られたことに気付こうぜ?まぁ、気づかせるために風を起こしてやったんだが………

 今回俺は刀に魔力を通さず、『剣神』の称号の恩恵である「斬撃範囲拡張」を使った。もし、通してしまったらこの森の木の上半分が多分切れていただろう………

 そんな事を考えながら、俺はゴブリンロードたちの死体をストレージに収納し、中で解体した。

『リュート、さっきの女の人がこっちを見てるよ!』

「ん?それなら安全を確認しないとな」


「大丈夫か?怪我はないか?」

 そう俺がその人に近づいて手を差し出すと、彼女はヒィッ!と怯えた様子で俺から離れた。しかし、その拍子に被っていたフードが枝に引っ掛かって取れてしまった。

(この女性、普通の人よりと耳が長いな………もしかして………)

「もしかして、貴女はエルフなのか?」

「だとしたら何なの?」

 まじもんのエルフだぁーっ!初めて見たぜ!それにしてもすごく美人だな………

「いや、俺はエルフの方を初めて見たから………」

「そうやってまた私を売るつもり?」

「売る、ってどういうことだ?」

「私は元々奴隷だったの。そして先日、運良く奴隷商人から逃げ出したはいいものの、逃げてる最中にゴブリンたちに見つかってしまって今に至ってるわけ………」

 だから変な首輪みたいなのをしてるのか………できれば取ってあげたいな。でも前にラノベで見た時には、奴隷の首輪を無理に外そうとすると、何かしらの作用が働いてその奴隷を殺すことになってしまうんだとか………

「この国には奴隷がいるのか?」

「あなたはそんな事も知らないの⁉ よく市場とかでオークションをやっていたではないか」

「そうなのか⁉ 俺はここに来てからあまり時間が経っていないから、ここの常識があまりないんだ」

「まぁ、そんなことはどうでもいいわ。それよりさっきは助かった。礼を言う、ありがとう」

「あぁ!別に構わないぞ。っていうかそれよりこれからどこへ行くつもりだ?」 

「………何も考えていなかった………」

「もしよかったら俺と一緒にオリジーネに行かないか?」

「私を売らない、手を出さない、って約束してくれるなら」

「当たり前じゃないか!俺がそんなやつに見えるか?」

「母上が男は皆ケダモノだと言っていたからな」

(ひどいな………まぁ実際、俺にそんな勇気もないが………)

「じゃあ、とりあえず飛んでいこうか」

「えっ、飛ぶ?そんな人がいるなんて………まさか、ね……」

「ちなみに貴女の名前は?」

「私はミツキで、歳は十八だ。アンタの名前は?」

「俺はリュートだ。歳は十九で、冒険者をやっている。街までよろしくなっ!」






リュートのステータス

Lv:46497

種族:50%人間

HP:測定不能エラー

MP:測定不能エラー

装備:ローブ(等級:測定不能)、剣(等級:測定不能)、指輪(等級:測定不能)

獲得スキル一覧:(剣術系)縮地、絶対切断、次元切り、持久力、駆け足、神速移動、斬撃範囲拡張

(魔法系)苦痛耐性、錬金術、生活魔法、火魔法、水魔法、風魔法、土魔法、雷魔法、聖魔法、闇魔法、時空魔法、空間魔法、ストレージ、ダストボックス、転移魔法、創造魔法、テイム、魔物意思疎通、魔物召喚、付与魔法、浮遊魔法、飛行魔法

(その他)手加減、自動解体、隠蔽、気配遮断

ユニークスキル一覧:ナビゲート、神眼、成長加速

称号:異世界人、苦痛に耐えし者、不運の象徴、修行バカ、ドM気質、ドMを極めしもの、剣神、魔帝、鬼殺し、神を模倣する者、神龍の友、空の覇者

加護:神龍の加護

鮮変万華の技:

『炎刃』一式「絶火」二式「不殺の炎」

『風刃』一式「殺爪」

『炎風刃』一式「炎嵐」

『氷風刃』二式「凍龍」

『吸魔の太刀』滅光斬

『彩刃』一式「輝夜の舞」

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