第二章 剣舞祭編

16.冒険者の街、オリジ―ネ

16.冒険者の街、オリージネ

「ゲートオープン!」

 と言うと、何もない空間から突如巨大な扉が現れたので、俺たちはその扉の中へと入っていった。そして、帰ってくるときもこのようにすればよいのだとゼロノスが言っていた。

 龍殺しの森の扉をくぐり抜けると、そこはまた木がいっぱい生えていた。

「ナビさん、ここどこ?」

「私にもわかりません。しかし、ここは龍殺しの森ではないようですね」

「まぁ、とりあえず街へ向かおう」

 プニタがぴょんと肩に飛び乗り、俺は走り出した。しかし、走り出しても街の場所がわからなくて困ってしまったので、ゼロノスにもらった『神眼』スキルを使って探してみることにした。

「神眼、発動ッ!」

 目を閉じると、周りの風景が360度3Dで頭の中にどんどん見えてくる。すると、50キロ西に行ったところに大きな街があるのが分かった。

「よし走るかっ!」

 「よし走るかっ!」び「かっ!」が言い終わるか終わらないかという時にすでに俺はけ出していた。体がものすごく軽い。そして何より、空気が濃い!龍殺しの森にいた時にはもっともっと空気が薄く、体も重かったからとても嬉しい。


 ―――十分後

 俺は今、街への入場待ちの行列に並んでいた。プニタには一応、魔物だ!とさわがれると嫌なので、服の中に隠れてもらっている。あと、ゼロノスいわく、普通のスライムは水色だそうなので、プニタにも水色に変色してもらった。

「次の人どうぞ〜!」

 門衛さんが俺のことを呼ぶ。

「身分証を提出してください。」

(え?身分証?そんなの出さなきゃだめなのか?)

 あぁ!俺、なんにも持ってねぇ!どんな言い訳にしようか…………

「あの…………、実はここに来る途中に、魔物に襲われてしまいましてあいにく手持ちの金銭類、身分証、その他諸々全て落として逃げてきてしまったんです…………」

「ほ、本当ですか?具体的にどんな魔物だったんですか?」

「えーっとですね…………」

 ここではなんて答えるべきなんだろう。魔物で強そうなやつといったら…………あいつだな!

「ゴブリンです」

「えっ?ゴブリン ⁉ あなたゴブリンに襲われて逃げてきたんですか?」

 まぁ、驚くのも無理はないだろう。なんせ、ゴブリンは俺が1年くらい修行に励んでやっとの思いで倒したやつだからな。

「わ、わかりました。この街に来るのは初めてですか?」

「はい。身分証を新たに作るにはどこへ行けばよいのですか?」

「どこかのギルドに加入してもらえれば大丈夫です。冒険者ギルドが有名ですね」

「親切にありがとうございました」

 そう言って俺は街の中に入って行こうとした、が、その時に俺は衝撃的な会話を聞いてしまった。

「あの青年、にやられたんだってよ」

じゃないか。そんなんでこの街でやっていけるのか?」

 と門衛の二人が笑っているのが聞こえてしまったのだ。

 ゴブリンが余裕で倒せるだと ⁉ この世界の人はやはり強すぎるのかもしれない……俺はこの世界で無事にやっていけるのだろうか。不安にまみれながら俺は街の中へ入っていった。


 ―――一時間後

 俺はまだ街中をうろついていた。ギルドの場所がわからなかったのだ。あぁ、果たして俺はこの世界で無事に生きていけるのだろうか?

 ギルドを探しながら道を歩いていたら、向こうから歩いてきた二人組の男の背が大きい方にドンッ!と肩がぶつかってしまった。

「あ〜ぁ、俺の服が汚れちゃったよぉー、どうしようー、これものすごく高かったのにー!」

「100万リタは下らねぇなぁ。弁償してもらわないとなぁ、そこの兄ちゃぁん!」

 はぁぁあああ、また面倒なのに絡まれたよ。この世界に来る前にもよく絡まれてたっけなぁ。それよりこの世界の通貨の単位はリタっていうのか。

「おいおい兄ちゃぁん!まさか、俺たちのこと無視しちゃってるのぉ ⁉ 」

 はぁ、うるさいなぁ、俺ギルドの場所探すので忙しいんだよ!なのにこんな変な当たり屋に絡まれるなんてほんと、『不運の象徴』だなぁ………


「僕は空を飛べるんだよ!上から見るから、街全体が見えるんだ!」

 と元気に鳥のおもちゃで遊んでいる男の子の声が隣で聞こえた。そうか!神眼使えばいいじゃん!

「あ、見つけた!」

 思わず、声に出してしまい、焦って周りを見ると、俺と当たり屋たちを取り囲むようにして街の人が群がっていた。

「へへへ、兄ちゃんは俺達を見ても逃げないんだな!その度胸は認めてやるぜ!」

「だが、俺らを無視したが最後、お前は地獄行きだ!見たところ、兄ちゃんの装備は良さそうだから、服代として俺らがもらってやるよ」

 このローブをもらうだと?ゼロノスからもらった鱗で長い時間かけて作ったこの装備を?ふざけるな。俺は少々キレていた。

「どうしたんだ、兄ちゃん!怖くて怖気おじけづいちまったか!」

「弱虫は装備を置いてさっさとママのところに帰りなさ―――、ゴヘッ!」

 セリフを言い終える前に当たり屋たちはその場に倒れた。俺は自分の魔力を剣の形に一瞬だけ凝縮させ、その剣で当たり屋たちを斬り、気絶させたのだ。

「な、何が起こったんだ!」

「あの青年が一瞬でアーク兄弟の後ろに回って、そうしたらあいつらがいきらり倒れたんだ!」

「街でも有名なCランク冒険者のアーク兄弟を倒したんか!兄ちゃんかっこええ!」

 などと、街の人々は俺のことを褒めていた。が、ここで目立ってもしょうがないので、こっそり人ごみをかき分けて、俺はギルドに向かった。






リュートのステータス

Lv:

46497

HP:

測定不能エラー

MP:

測定不能エラー

装備:

ローブ(等級:測定不能)、剣(等級:測定不能)、指輪(等級:測定不能)

獲得スキル一覧:

(剣術系)縮地、絶対切断、次元切り、持久力、駆け足、神速移動

(魔法系)苦痛耐性、錬金術、生活魔法、火魔法、水魔法、風魔法、土魔法、雷魔法、聖魔法、闇魔法、時空魔法、空間魔法、ストレージ、ダストボックス、転移魔法、創造魔法、テイム、魔物意思疎通、魔物召喚、付与魔法

(その他)手加減、自動解体

ユニークスキル一覧:

ナビゲート、神眼、成長加速

称号:

異世界人、苦痛に耐えし者、不運の象徴、修行バカ、ドM気質、ドMを極めし者、剣神、魔帝、鬼殺し、神を模倣する者、神龍の友

加護:

神龍の加護

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