04.初めての魔物(モンスター)

04.初めての魔物モンスター


 グルルゥゥゥゥゥ―――


 音がした方を振り返るとそこには自分の体より何倍も大きい鬼みたいな怪物がいた。ナビさぁぁぁん!あいつは何?と心の中で尋ねると、

『すみません、解わかりません』

と某S◯Riのようにしっかり答えられた。はぁ〜〜、マジかよ!

『しかし、あれは『ゴブリン』だと思われます。ですが、ご主人様のレベルではまだかすり傷一つつけられないと思うので、逃げたほうがよろしいかと思われます』

 ん ⁉ いや、もっと早く言ってよ?そういう大事なことは!

 でも待てよ…………ゴブリンといえば異世界ファンタジー物で一番最初に出てくる街の少年でも倒せるくらいのレベルなはずだよな?流石にかすり傷一つつけられないは嘘だろ。ちょっと腕試しと行こうか!

「よしじゃぁ、サクッと倒しますか!」

『―――ちなみに鑑定の結果、相手のレベルは250だと思われます!』

 え ⁉ ちょっと待った、250?10とかじゃなくて?化け物かよ!しかも俺まだLv1だぜ ?! もし戦いでもしたら、俺100%死ぬじゃん!これは…………逃げるしかないっ!

 ウオォォォ!俺は雄叫びを上げながら超必死で逃げ続けた。走りにくい森の中、ただひたすら我武者羅(がむしゃら)に逃げた。幸い、小さい頃からやっていた武術のおかげで体力だけはあったので、なんとか逃げ切ることができた。


「ハァハァハァ……………あんな化け物いるなんて聞いてないぞっ!」

 思わず声が裏返った。

『だから私言ったじゃないですか!ご主人様のレベルではまだかすり傷一つつけられないと思うので、逃げたほうがよろしいかと思われます、って』

「それはそうだけどさぁ〜」

 もっと鍛えて強くならなければ生きていけない、そう思った。

 まずは、あの『ゴブリン』というヤツを倒すことを目標としてトレーニングしなきゃいけないな。この世界のゴブリンは強い…………想像していたゴブリンは小さくてすぐ倒せそうな奴だったからな………これからは油断しないようにしないと!取りあえず強くなるために修行するか!

 

 そうして、修行一日目が始まった。俺はまずランニングをした。だが、ここは森だから、足場が悪く、何度もコケた。その度にHPが1ずつ減ってしまったので、気をつけなけなければならない。100回転んだら死んじまうんだからな………俺貧弱すぎて流石にメンタル削れてくぜこれは………

 そんな調子で3時間ほど走っていると、


《スキル『持久力』『駆け足』を獲得しました》


と頭の中でナビさんとはまた違う声がした。この声は何なのだろうか。

「ナビさーん、この頭の中に響いてくる声ってナビさんじゃないよね?」

『はい、その声はスキルなどを授与された際に頭の中で響く声ですね。この世界の人々は皆その声を “神様の声” と呼んでいるそうですよ』

「へぇー、スキルをくれる神様なんているのか?」

『人は生まれた時に皆その神様からスキルを授かるのですよ』

「その神様の名前ってなんて言うんだ?」

「―――創造神クリエ様です」

『んじゃ俺も創造神様に感謝しないとな』


 今まで苦痛耐性しかスキルがなかった俺は新たに追加されたスキルを見て喜んだ。このまま行けば更に新しいスキルを得られるかもしれないと思った俺はその後、険しい山のような森の中を、日が暮れるまで走り続けた。

 走っている最中に、川とその近くに開けた場所を見つけたので、そこを拠点とすることにした。

「んじゃ飯にするか!」

 夕飯は、ランニングの途中で見つけたキノコと山菜だ。錐揉式の火起こしで火を作り、キノコを炙って食べると、とってもまろやかな味がして美味しかった。

 近くに流れている川の水を汲んで火にかけながらその中に山菜を入れて、出汁を取ろうと思ってしばらく待った。するとできた出汁は何故かかなり神々しく光っていた。

「ん?なんでこの出汁こんなに光ってんだ?まぁいっか!もしこれを飲んだら超強いスキルなんかが獲得できるかもしれないしな!」

 ワクワクしながら飲んでみると、体の疲れがみるみるうちに吹っ飛んでいった。

 すると、


《スキル『錬金術』『生活魔法』を獲得しました》

《HPが100から500に上昇しました》

《MPが100から500に上昇しました》


と再び頭の中に例の声が流れ込んできた。

「なぁナビさん、なんで錬金術なんてスキルがいきなり追加されたんだ?」

『おそらくそれは、あの山菜が薬草だったからでしょう。さらにこの川の水は森の膨大な魔力によって魔力水になっているので、その二つを混ぜた液を作って飲んだからだと思いますよ』

「じゃあ、生活魔法は?」

『火起こししたからでしょう』

 火起こしで魔法認定されるのか………と若干この世界の仕組みに疑問を持ちながらも、早く魔法を使いたいとすごーく思った。






リュートのステータス

Lv:1

HP:500

MP:500

獲得スキル一覧:苦痛耐性、持久力、駆け足、錬金術、生活魔法

ユニークスキル一覧:ナビゲート

称号:異世界人、苦痛に耐えし者、不運の象徴

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