狐と狸の選び方~アレルギー男の憂鬱

峯松めだか(旧かぐつち)

狐と狸の選び方~アレルギー男の憂鬱

 前置きとして、こいつは胃腸虚弱でエビカニアレルギーです、アレルギー持ちがどんな視点で買い物をしているかの参考程度にお読みください。


『「赤いきつね」「緑のたぬき」幸せしみるショートストーリーコンテスト』

 カクヨムを開いた所で、トップページのそんなバナーを見つけた。

(応募条件が簡単な割に賞金が意外とデカイ・・・・・・)

 だがここで問題が発生する。

(そもそも食べたことすら無い)

 割と致命的な問題で有る、調べたり聞いただけの入れ知恵で書くのは文章的に薄っぺらくなるので、物書きとしては避けたい物だ、そんな訳で店頭に一つ買いに行くことにした。


 近くのスーパーで表示自体は見慣れたパッケージを見つけた。

「あったな、さてと成分表は・・・・・・?」

『赤いきつね』を一つ取って成分表をざっと確認する。

 油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、でん粉、食塩、植物性たん白、乾燥酵母、卵白)、かやく(味付油揚げ、卵、かまぼこ)、添付調味料(食塩、しょうゆ、魚介エキス、たん白加水分解物、粉末こんぶ、香辛料、ねぎ、砂糖、植物油)/加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、リン酸塩(Na)、炭酸カルシウム、カラメル色素、レシチン、増粘多糖類、酸化防止剤(ビタミンE)、ベニコウジ色素、ビタミンB2、ビタミンB1、カロチン色素、(一部に小麦・卵・乳成分・さば・大豆・ゼラチンを含む)

「魚介エキスがなんだか分からない、成分標的にはさば節?」

 思わず呟き、一人で首をひねる。

 アレルギー表示義務主要物質的には、小麦・卵・鯖・乳成分・ゼラチン・大豆と・・・・・・

 この辺りのサジ加減は実験対象が自分の体で、いざという時には経口寛容での許容値と手持ちのステロイド薬での時間稼ぎは出来るのだが、そもそもアナフィラキシーショックを起こすかもしれないギリギリの橋というのは極力避けたい物で有る。

「エビカニにチェックが無いから多分大丈夫? かな? こっちは?」

『赤いきつね』を買い物かごにキープし、今度は『緑のたぬき』を手に取り、同じように成分表と睨めっこをする。

 油揚げめん(小麦粉(国内製造)、そば粉、植物油脂、植物性たん白、食塩、とろろ芋、卵白)、かやく(小えびてんぷら、かまぼこ)、添付調味料(砂糖、食塩、しょうゆ、魚介エキス、たん白加水分解物、乳糖、香辛料、ねぎ、香味油脂)/加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、炭酸カルシウム、カラメル色素、リン酸塩(Na)、増粘多糖類、レシチン、酸化防止剤(ビタミンE)、クチナシ色素、ベニコウジ色素、香料、ビタミンB2、ビタミンB1、カロチン色素、香辛料抽出物、(一部にえび・小麦・そば・卵・乳成分・大豆・豚肉・やまいも・ゼラチンを含む)

「こっちは先ず間違いなくアウトだな」

 括弧付きの小さな文字だが、えびの二文字が目立っている。

 手に取った『緑のたぬき』をそっと戻した。

 昔よりは配慮されているけど、アレルギー持ちには生きづらい世の中で有る。


「しかしあれだ、こう言ったカップ麺は出来ればノンフライ麺が主流で有ってほしい・・・・・・」

 カップ麺、『赤いきつね』に電気ポットから熱湯を注ぎつつぼやき、蓋を戻しておもりを乗せる。

 胃腸炎持ちの胃腸虚弱組としては油揚げめんを摂取すると消化不良を起こすので、余り摂取したい物では無い。

 因みに結果として、露骨に肌荒れ等を起こすのだ。等に含まれる詳しい言及はお食事ネタ中だがら避けさせてもらう。

「まあ、諦めて食べるとしよう」

 そんな事を考えている内に5分経過したので、改めて蓋を剥がす。

 逃げ道を探していた湯気が上がった。醤油系の食欲をそそる香りが部屋に充満する。

「いただきます」

 割り箸を構えて会釈して食べ始めた。

「熱!」

 ついでに猫舌だったので、お約束の悲鳴を上げた。

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