2022.1/17(深夜)

 共通テストも明け、自己採点も終わったが、点数の荒れた今年は判定が出るまでは出願できる大学が分からない状態であった。また感染症の影響もあり、三年生の終業式が明日に繰り上げとなっていた。


 日付変更直前、突然母の携帯が震えた。連絡主は病院であった。二、三日にくる弟の様子を伝える定期連絡とは明らかにかかってくる時間が異様であった。慌てて携帯をとる母。震えた声で相槌を打つ声が静かなリビングに響いていた。短い通話の後、母は机に突っ伏した。


 弟が脳梗塞を起こした。


 幸い発見が早く、直ちに処置が始まった。しかし、後遺症として半身麻痺と失語症の可能性があった。母の肩を抱き背中をさすることしか私には出来なかった。気の利いた言葉のひとつも浮かばなかった。それから父を叩き起し、病院へ向かう準備が進んだ。私は同行することを断った。弟が死ぬかもしれない、しかし明日学校を休めば卒業式まで会わない友達もいた。私はそれを天秤にかけたような形となってしまった。母は私の選択を尊重してくれた。両親に事故にだけは気をつけて欲しいと、念を押した。

 その夜、ベッドに横にはなったがとても眠れはしなかった。ただひたすらに泣き続けた。

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