2021.12/6

 弟の心機能は依然として落ち込んだままであったが、意識は筆談でコミュニケーションを図れるレベルに回復していた。看護師さんの話によると先日持っていったCDやDVDに「飽きた。」クレームを入れたらしい。そして、タコのぬいぐるみを嬉しそうに触っていたらしい。この話から両親に少しだけ明るさが戻ったように思えた。もちろん私の心も。ただ、私は未だに勉強に身が入らないような感覚であった。私の学校の担任と塾の先生には状況を説明して色々な協力をしてもらっていたが、心だけはどうにも思うようにはいかなかった。


 その日の夜、弟は病室移動に対して泣いていた。

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