　今日は両親と弟と担当医による話し合いが行われた。そこでは現在の弟の症状、今後の治療方針が話された。これが弟にとっては初めて自分の状態を知ることになった。母によれば弟は冷静だったらしい。

　そして、今日の話で決まったことは明日のテストについてであった。そのテストでは一時的に弟に繋がれたECMOを停止し、弟の心臓の働きを確認するテストである。その結果次第では後日にVAD手術を行う事が決まるというものであった。VAD手術とは、今回のものは厳密に言えば体外式VADと呼ばれるもので、胸の部分に繋がれた管を通して体外に設置された人工心臓で心臓の動きを手助けするというものである。しかし、体外式ではベッドからは大きく離れることは難しく、移動には必ずVADを運ぶ人が必要になる。

　ちょうどこの頃、私は親しい友人の何人かに弟の事情を話した。事情を知った友達はみんな静かに受け止めてくれた。それがなによりも私の心を楽にしてくれた。こういう時は下手に励まされるよりも、ただ話を受け止めてくれた方がよっぽど励みになることを知った。