陶子とミーシャ

第4話 先ずはお友達から.....その

陶子がお母さんががめ煮を作ったから、と持ってきてから。

カチンコチンに固まって動かなくなった。

より正確にいえば、挨拶を、と出てきた俺の義妹を見てから、だ。

どうなっているの.....、的な感じで、だ。


「.....ちょっと待って。理解出来ない.....んだけど.....」


「そりゃそうだろ。俺だってまだ理解出来てない部分がある。.....いきなりこんな事になっちゃったんだから」


「.....?」


リビングにて。

真顔のまま俺達を見てくるミーシャを見てから幼馴染は.....困惑に困惑しながら.....俺を見てくる。

本当に困惑しているのが見てとれる感じだ。

まあ困惑だよな.....、と思いながら、うんうん、とする。


「.....あの」


「.....どうしたの?ミーシャ」


「私、お茶菓子を用意しますね」


「.....あ、ああ。じゃあお願い」


そんな感じの会話を見ながらだが。

陶子はジト目になりながら俺を見ていた。

俺は、???、となりつつ陶子を見る。

すると陶子は俺と無理矢理、肩を組んだ。

それから、七緒。.....あの子は召使いなの?違うよね。.....何命令みたいな事をしているのよ、とコソコソと言ってくる。


「.....あの子は何だか.....少しだけ内気なんだ。.....だからお前と接するのが少しだけオドオドしているのかもしれない」


「.....ふーん.....あの子の事.....そんなに知っているんだー。ふーん.....」


「何だよ.....」


「.....別に。.....何でもない」


少しだけ、うーん、という感じで陶子は俺から肩を離した。

それから顎に手を添えてから.....考え込む。

何だっていうのだ.....。

俺を散々嫌っている割にはグイグイくるな.....。


「.....ね、ねえ」


「.....何だよ」


「.....ねえ。例えばの話だけど。.....私が.....義妹でも接してくれる?それなりに優しく.....」


「.....は?.....はぁ?意味が分からないんだが。.....いや。まあ.....お前の事は嫌っているけど.....それでも女の子だしな.....って何でそんな事を聞くのだ」


そ。そうなんだ。

と少しだけ笑顔になる陶子。

俺はますます、?????、と浮かべる。

意味がさっぱり分からない。

思っているとミーシャがお茶菓子を持って来た。


「お待たせしました。これは大福ですが.....大きな福。.....縁起が良い名前ですね。持って来ました。是非食べられて下さい」


「.....有難うね。ミーシャ」


「.....はい。お兄様。.....その.....陶子様も」


「.....ミーシャさん」


「.....え、あ、はい!」


ミーシャは少しだけ緊張しながら反応する。

すると陶子は笑みを浮かべる。

それから、私の事は(陶子さん)で良いわ、と言った。

ミーシャはぱあっと明るくなりながら、はい!、と答える。

何か嬉しそうに、だ。


「.....私は様付けで呼ばれるのは好きじゃないからね」


「は、はい。.....あの」


「.....うん?」


「.....私.....その。.....友人が少ないんです。.....それで.....もし良かったら陶子さんとも是非ともにお友達になりたい.....のですが」


「.....え?.....あ。.....ま、まあ良いけど.....」


「.....あ、有難う御座います!」


何だか不穏な感じがしたが。

そんな事も無く.....全てが進んでいる。

俺は安心しながら.....その光景を見ていた。

それから.....煎茶を飲む。

すると、でもその代わりに聞きたいことがあるんだけど、と陶子が話した。


「貴方は.....その。.....七緒の事はどう思っているの?」


「.....?.....どう.....とは?.....良きお兄様と思っています」


「.....そ、そうなの。.....分かったわ。.....有難う」


それはどういう意味なのか。

俺もパチクリしながら見ていた。

何だか深い意味があった様な.....そんな気がしたが。

思いながらもその場では聞かなかった。

それから俺は大福を摘んで食べる。


「それにしても.....幼馴染という仲が良い方が居るのが羨ましいですね。どの様な形であれそれは絆だと思います。.....私は.....そんな人に恵まれませんでしたから」


「.....じゃあ今から恵まれる様にしようか」


「.....え?」


「.....私もそれなりの人生だったんだ。.....でも.....その中で七緒に出会った。.....それは.....運命だと思っているから。.....でも貴方が望むなら。.....私は貴方にも手を差し伸べるから」


「.....!.....お優しいですね。.....陶子さん.....」


「.....私は.....」


陶子はミーシャの笑顔に言い淀む。

優しくない、と言いたいのかもしれないな。

だけど.....陶子は陶子だ。

俺を嫌っても陶子だから.....。

陶子の頭に手を添えながらミーシャを笑みを浮かべて見る。


「コイツ色々と鈍感だからさ。.....ミーシャ。友人として宜しくね」


「.....は、はい!精一杯.....努力します」


「.....七緒。恥ずかしい.....」


「.....良いから」


するとその中でポツリと陶子が赤面で呟く。

だか 私は ういう優し に.....、と、だ。

ポツポツとしか聞こえなかったんだが。

何を言っているのだと思い聞き返そうとしたが陶子は立ち上がった。


「.....さてそれはそうと。.....あ。何か手伝える事ある?ミーシャさん」


「.....え?私ですか?.....今は.....あ。良く考えたら頼まれていた洗濯物を畳まないといけないといけません.....」


「じゃあそれを手伝うから。.....ほら。七緒。貴方も」


「.....え?俺もかよ」


「当たり前でしょ!女子だけこんな事させるとモテないから!」


何を言っているのかしら、と怒る陶子。

俺は苦笑いで慌てて立ち上がる。


一歩を踏み出す勇気。

それは.....あまりにも難しい事かもしれない。

だけど俺はこの子達を見て思った。

もしかしたら.....みんな歩み出せるかもしれない、と。

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