なんか気がついたら1年経過してました
第15話
「くそ!なんなんだよこの廃村は……」
黒焦げの建物の影で1人の盗賊が悪態を吐いていた。村のあちこちには仲間の盗賊の死体が転がり生き残りはこいつだけ……私は最後の盗賊を建物の影からジッ……と見ていた。
シュ!ドス!
私は盗賊の剥き出しの腕へボルトを撃ち込む。ボルトが刺さった場所から肌が紫色に変色していき盗賊が苦しみ始める。
「カッ!ハッ……」
変色が腕全体に広がった辺りで男は泡を吐いて動かなくなった。私は少し待ってから盗賊のところに行き死体を足で転がした。
「死んでる……どいつも対した毒耐性持ってなかったね」
これじゃあ実験にならない……山と町で手に入る毒を濃縮して作った新作の毒だったのに。この辺りの素材で作れる1番強いやつだからどの程度の耐性持ちまで殺せるか気になってたのに……
「ここに来る盗賊で毒の実験はやめよう……碌なデータが取れないのに使いたくない」
私はズリズリと死体を引き摺りながら文句を溢す。盗賊は殺したあと使えるものを漁って、死体は全部村のゴミ捨て場の近くに集めていて、夜にまとめて燃やしてる。放置して疫病発生したら嫌だしね……
「てか盗賊最近減ったね。まぁ、スラムにあんな噂広がってれば当たり前か」
この前スラムに行った時にここの村のことを話してる裏家業風の男が居たんだけど、そいつここのことを神隠し村とか言ってたんだよね。なんでも根城にしようとした盗賊団がいくつも消えてしまう……とか。
「まぁ、全員殺して燃やしてるからね……しかも血の痕跡が残らないようにしてるし」
焦げた建物は放置してるけどね……まぁ、あれは盗賊が来た時に遮蔽物物として使う用に残してるんだけど。もう実験場として活用してるよね。狩り場とも言うかな。
(来ないでくれないのはそれはそれで実験ができなくて困る……)
人間相手に実験なんて悪人じゃないとできないし。暗殺者とはいえ手当たり次第に殺すのはアウト。私は辻斬りじゃない。
「戦利品で使えそうなのは酒と油……おっ、こいつら銀貨地味に持ってる」
臨時収入ラッキー。あとは金属製の武器がいくつか溶かせば使えそうな感じだからそれも取っておいて……残りは焼却処分だから夜にもう一回来よう。
「よっこらしょ、っと」
私は戦利品を袋に詰めて担いだ。入り切らなかったやつは夜にもう一度来た時に持っていこう。
(山に仕掛けた罠……またいくつか壊れてるね。後で直しておかないと)
この1年で山には多数の罠……落とし穴や括り罠を設置している。盗賊やモンスター対策に仕掛けてるんだけど設置して1週間もしないうちに壊れることが多い……まぁ、原価の低いやつしか使ってないから対して痛くないんだけど。《罠術》の良い訓練になるしさ……
「ただいまー……まぁ誰も居ないんだけど」
山の中を軽く見回りながらスイスイと走り抜けた私は無事に拠点に到着した。拠点もこの1年でそこそこ変化している。建物1つだと素材でゴミ屋敷みたいになるから時間をかけて倉庫を建てたり。人に頼んでドラム缶を作って貰って簡易的なお風呂も作った。井戸も滑車を取り付けて楽にしたしね。ちなみに風呂は頑張ってちゃんとしたのを作ろうと思ったんだけど技術不足だった……
「スキル取ろうにも何が必要か分からないしね……」
現在のステータスはこんなもん。
ーーーーーー
アンlv50
魔人
暗殺者
HP:128
MP:167
スキル
《不意打ち・Ⅴ》《急所突き・Ⅴ》
《狙撃・Ⅴ》《早撃ち・Ⅴ》《隠密・Ⅶ》
《忍び足・Ⅶ》《暗視・Ⅶ》《潜伏・Ⅴ》
《柔軟・Ⅵ》《体幹・Ⅵ》《跳躍・Ⅵ》
《受け身・Ⅵ》《運搬・Ⅵ》《持久力・Ⅵ》
《縮地・Ⅵ》《高所作業・Ⅵ》
《陽動・Ⅲ》《無心・Ⅳ》《人殺し・Ⅴ》
《薬学・Ⅴ》《罠術・Ⅴ》《日曜大工・Ⅳ》
《毒耐性・Ⅴ》《麻痺耐性・Ⅴ》
《病気耐性・Ⅴ》《苦痛耐性・Ⅵ》
魔法
【コロージョン・Ⅵ】
【ノイズ・Ⅴ】
【ブラインド・Ⅳ】
触れているものに盲目効果を与える
【カース・Ⅳ】
触れているものに回復阻害効果を与える
【コンフュージョン・Ⅳ】
触れているものに混乱効果を与える
新規スキル
《逃走・Ⅳ》
相手から逃げたとき足が速くなる
《追跡・Ⅳ》
逃げている相手を追うと足が速くなる
《看破・Ⅳ》
痕跡や隠れている相手を発見しやすくなる
《気配察知・Ⅴ》
生物の気配を感じやすくなる
《雪上行動・Ⅳ》
雪の上での行動が行いやすくなる
《水泳・Ⅳ》
泳ぐ時に進みやすく溺れにくくなる
《潜水・Ⅳ》
水に潜る時息が続きやすくなる
《矢作成・Ⅴ》
矢やボルトの作成に補正が入る
《寒さ耐性・Ⅳ》
寒さに対して強くなる。氷属性に対しては無効
《暑さ耐性・Ⅳ》
暑さに対して強くなる。火属性に対しては無効
《痛覚軽減・Ⅳ》
痛みを感じにくくなる
ーーーーーー
スキルのランクはⅤを越えると極端に伸びが悪くなる……ゲームの時でもⅥにするのに1か月もかかったりした。特に《隠密》とかの自動発動系や耐性系などの常時発動型は特にね。決して怠けてたわけじゃない。
魔法に関しては夏に川で泳いでいたら闇属性の魔石をまた手に入れることができて3つも取得することができた……ゲキマズ地獄3連発でメンタルブレイクしかけた。他にも無いか頑張って探したけど細かいのがいくつかあっただけで大きいのは無かった。あと全部闇属性だったからこの辺は闇の魔力が強いのかな?
「魔法もランクの伸びが悪いんだよね……沢山使うとMPゴリゴリ削れるから」
余談だけどゲームの時多くのプレイヤーがこの壁に激突しスキルの多さで補強する派ととにかくスキルを鍛えあげる派で分かれ泥沼の争いがあった。私はとりあえず取得して使いたいものだけ鍛えあげる派だったから参加しなかったんだけどね。面倒だったし……
「Ⅴより上は本気で極めようとしないと到達できない境地……Ⅴはその最初の壁ってことかな」
ちなみに私はゲーム時に初めてスキルを最大のⅩにしたのは2年ほど。ゲームの時は時間加速でリアル24時間が3日になってたけど1年は余裕でかかった。それにこの身体は成長しているとはいえまだ子どもだし。あまり無茶なことできない……壊したら元もこうもない。
「あとは環境的にも結構ね……この辺のモンスターたちじゃ経験値稼ぎにならない」
lvと戦闘系のスキルのランクを上げる最も効率の良い方法。それは自分より強い相手と戦うこと。生産の場合はより希少な素材の使用になるね。つまりはぬるま湯に浸り続けず殻を破るような行動をしないといけないんだよね。
(ダブルヘッドパンサーくらいのモンスターじゃないともう成長しないかなぁ……そんなのこの山に居ないけど)
あいつが居なくなってからこの山は結構荒れてる。絶対強者……山の主が居なくなったことで次の山の主を決めようとしているのかモンスターたちの争いが酷い。なんか近隣のモンスターまで山に入り込んでてね……生態系がかなり滅茶苦茶。
「もしくは元々はこんな感じだったのか」
入り込んでるのは弱いモンスターが多い。ダブルヘッドパンサーから逃げ出していたやつの可能性もあるんだよね。まぁ、前の山がどんなのだったか知らないから想像になるけど。
「使える素材が増えたから良いけど……人も入って来にくくなっただろうし」
正直私が住んでること知られたくないからね……私は色々考えながら戦利品を片付けた。この倉庫も結構パンパンになって来たなぁ……特に盗賊の武器。
(そろそろ売りに行くか……)
置いてきた戦利品も武器だし。明日スラムで売ってこよう……
「さてと夜まで暇になったし薬とか作ってよう……」
調薬器具も結構揃ったから良い質の薬を作れるようになった。余計にこの拠点から離れられなくなったけどね……ここに永住する気はそんなに無かったんだけど。
(てかそろそろあそこに顔出さないと……絶対に怒られる)
実を言うと薬に関してある人に教わっていたんだよね。スラムで1番良い薬を売ってるところをガンテツさんに教えてもらってどんなものか行ってみたんだけど……なんか気がついたら通って指導を受けることになった。成り行きで指導を受けたとはいえ、いくつかの薬はそこで学んだ技術が取り入れられている。毒薬限定だけども……
「明日やること多いなぁ……」
私はそう小さくボヤきながら材料を集めて調薬を始めた。
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