第3話 プレイ

 プレイ相手を探していると、フィールドを変えたくなるときがある。


今は繁華街にいたけれど、ちょっと趣向を変えて、ショッピングモールに行ってみる。


 案外、女の子一人で来ている娘はいっぱいいて、その娘たちはたまの休みだったり、日常からほんの爪先ほどの非日常が欲しくてショッピングにくる。


 だから、打率は繁華街より良いかもしれない。果たして俺が爪先だけでたその足をこちらまで運ばせることができるのか?できたらいいな。そこに望みをかけて声を掛けるのだ。


 20人くらいに声を掛けて空振りに終わったあと、ずっと気になっている娘に声を掛けてみることにした。


 その娘は誰かを待っているのか、一時間くらいずっと同じところにいた。壁を背に、ずっと人波を眺めている。


 ハッキリ言って、美人だ。


 髪は肩くらい、あざといぐらいの黒髪に天使の輪。目元の赤っぽい化粧が色っぽい。


 それにしても最近よくあるこの化粧、可愛いスタイルに色っぽさを乗せてくる手口、まったく悪どいと思う。こんなん世の男はドキッと本能的にしますわ。まぁ、もちろん、彼女たちは自分のためになによりその美を楽しんでいるのだろうけど。


 けれど天使の分け前が欲しくなってしまうのは、人情というもの。しゃーなし、しゃーなし。なんて、頭の中で言葉転がして、ついつい二の足を踏んでしまう。


『ごめんなさい!本当に好みなんです!』


 サイバラさんの声がこだまする。


 行くしかないか。


 さぁ、ゲームしようぜ!ライブしようぜ!


 自分を鼓舞して歩を進めた。

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