第13話 体力が足りない

 まず、僕は最近までろくに食べてこなかった。姉さんのおかげで栄養失調とまではまだいかなかったけど、この歳で必要な分には足りていなかった。そしてそもそも、僕は若すぎる。幼いと言ってもいい。冒険者の平均年齢は低いといっても、僕の周りは全員年上だ。つまり冒険者最年少という事になる。肩書きだけで見れば、なんだか将来有望というふうに見えなくもないけど、これは単に、僕がおかしいだけだ。いい意味じゃなく、普通なら親の庇護下でぬくぬくと過ごすのが当たり前なのに、それが出来ず、冒険者をやっている。


 何が言いたいかというと、筋力が足りない。


 体力が足りない。身体が追いつかない。だけど文句も言ってられない。

 彼らも仕事だ。効率を上げる為に雇ったのに、こちらが足を引っ張っていたら本末転倒だろう。ポーターの体力が無いからと、それに合わせて速度を落とす義理はないのだ。

 前に自分のバックパック、いや違うか。フロントバック?を下げ、彼らの荷物全てが入ったバックを背負って必死に走ってる。

 休めるのが戦闘中みたいな感じになっており、彼らが戦ってる間バックを下ろしたい欲に抗うのに苦戦している。結局休めてない。


 そんな体たらくだから、彼らもこちらを指導するという感じでもない。もうね。顔が言ってる。こいつ、大丈夫か……?って。はい。大丈夫じゃないです。あの、ちょっと休みません?あ、ダメですか。そうですよね。すみません。生意気言って。


 初日は散々だった。良かった。日雇いで。肩が上がらなくなった。ああ、ありがとう。姉さん。マッサージしてくれて。大好きだ。


 初日の夜は意識が朦朧としていて。次の日の朝の姉さんの様子が少しおかしかった。


 二日目もついていけなかった。寧ろ筋肉痛で更にきつかった。足のどこかの肉が切れたような音がした。…幻聴だろうか?


 三日目は休みにした。もう家からは一歩も出なかった。寝るのも辛い。


 四日目は不思議だった。なぜか異様にテンションが高く笑いながら走ってた。アドレナリンが爆発でもしたのだろう。周りはちょっと距離を置いていた。


 五日目は地獄だった。ハイな気分が切れ、四日目に無理をした反動が一気に襲いかかってきた。寝るも地獄起きるも地獄。


 六、七と休んで八日目、少しだけついていくことができた。超回復、という言葉を思い出す。あれだけ痛い思いをしただけの効果はあったのだろう。寧ろないと困る。


 そんなこんなで二週間、ポーターとしてあっちこっち走り回り、体力だけは付いた。



 いやきつかった…ほんとに……

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