第8話 本登録
ついに本登録の日がやってきた。
いつものように、とはいかず、結構緊張している。
それでも少しワクワクする気持ちもあった。
期待と不安を感じつつ、5つ目の魔石を売り、受付に向かった。
担当は前と同じ男の人で、これは驚いた、というような顔をしている。ちょっと得意げな顔になってしまう。
「本登録をしにきました。」
言って、この人にもらった硬貨を返した。
受付の男は可笑しそうに笑った後、硬貨を手に取り、前回の時よりも機嫌よく話し始めた。
「では、ようこそ冒険者ギルドエリス王国支部東門出張所へ、俺の名前はハイマンだ。よろしく。」
「こちらこそ、よろしく。ハイマンさん」
「おう。じゃあさっそく説明を始めるか。まずは冒険者のランクから———」
冒険者のランクにはSを頂点とし、アルファベット順にAからGへと続く。始めはGからで、冒険者ギルドに出されている依頼をこなしたり、指定されている素材を買い取ってもらうことで評価が上がっていく。
他にも未到達領域の情報や素材の持ち込み、国際貢献度の基準をクリアするといった方法もあるが、上級者向けでありおすすめはしない。
ランクが上がれば国の騎士団の入団試験を受けられるようになったり、各種設備での割引やランク制限のある武器や防具なども買えるようになるので、基本上げることを推奨されている。
依頼を受けるのにギルドから制限があるわけでは無いが、大抵の依頼には条件がつけられておりGランクではほとんど受けることができなくなっている。高ランクになってくると指名依頼がくることもあり、受けなくても罰則はないが、達成すればその分の評価はされる。
「————で、おそらくお前が1番聞きたいことなんだが」
自分の身分を証明できない者がランクを上げていった場合、Dランクからは後ろに
一通りの説明を終えた後、ハイマンさんはこっちを見て苦笑いした。
「まあまだ説明してないこともあるし、例外とかもあったりするんだが、今のお前にとっちゃどうでも良さそうだな。」
たしかにどうでもよかった。
いままで曖昧だった道のりが急に鮮明になり、歯車がカチッとはまるような音がした。
Dランク
なる。絶対になってやる。なって市民権を獲得し、あの城壁の内側で姉さんと暮らすんだ。
そしてハイマンさんはニヤリと笑ってこう言った。
「それじゃあ最終確認だ。レン、冒険者になるか?」
「———なります!」
そうか、とハイマンさんは楽しそうに笑っていた。
冒険者になって、
今日、この時、僕の目標は明確に定まった。
やっとスタートラインに立てた気がした
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