第5話 ラートシカムイ

 郡司はゴミみたいな教授だった。母親が子宮がんの手術で講義に遅刻したのだが、郡司は冷たく「帰りなさい!」と追い出した。

 あんな人間は生きている価値がない。

 それにしても、桃子はうざい。アイツのせいで計画が狂った。クラス会で釧路駅チカの鳥松っていうザンギ屋で寧に会ったとき、「ひとりなの?」って尋ねたとき、「うん、ひとり」って言ってたからひとりで住んでるのだと思っていたが、母親と同居だったとは!奴は結婚してるのか?って尋ねたと勘違いしていたらしい。

 クラークの墓の場所を思い出した。彼の墓はアマースト町ダウンタウン内にあるウエスト・セメタリーにある。


 巨大な蛸の怪物ラートシカムイが現れたとの噂を聞いた。

 同じくアイヌ民話の巨鳥フリカムイが心が荒れすさんで空を海上を飛び回った際、海底で眠っていたラートシカムイがあまりの騒音に目を覚まし、怒って海面に出てフリカムイと戦った。フリカムイに墨を吐きかけたり、8本の足で海に引きずり込んだりしたが、力は両者とも互角で、決着がつくことはなかったという。


 フリカムイが海中に引き込まれた際、尾羽(アイヌ語でイシ)を左右に動かして(アイヌ語でカリ)ふんばったため、その付近の海を石狩と呼ぶようになったともいう。

 

 釧路駅近くの蕎麦屋で昼飯にした。

 クロレラ入り薮蕎麦風蕎麦を太は食べた。

 やたらとゴツい、ジャイアント馬場みたいな男が声をかけてきた。

「アンタ、檜垣太だろ?」

「どうして、そんなことを?」

「俺の推理力はピカイチだ。俺は馬酔木」

 馬酔木は大学時代に化学者を目指していたこと、職を転々とした挙げ句恋人に振られ、風嵐って殺人犯に殺されたことなどを知っていた。

「アンタ、探偵か何かか?」

「いいや?これから冒険に出よう。俺は蘇生術を使える。仮にアンタが死んでも、俺はアンタを復活出来る」

 馬酔木のスマホが鳴り出した。

「シモシモー、行町どうした?えっ!?蛸野郎が現れた!?」

 道東太平洋側には沈み込み帯である千島海溝が形成されており、地震活動が活発となっている。そのため、太平洋に面する釧路市も地震や津波の被災経験を持つ。以下は主な被害地震と市内の被害。


 1843年十勝沖地震 (M8.0) - 地震と津波で死者。

 1894年根室半島沖地震 (M7.9) - 震度5。津波あり。死者1名、家屋被害。

 1952年十勝沖地震(M8.2) - 震度5。津波あり。死者15名、土砂崩れ、家屋被害。

 1993年釧路沖地震 (M7.5) - 震度6。死者2名、土砂崩れ、家屋被害。

 1994年北海道東方沖地震 (M8.2) - 震度6。液状化、家屋被害。

 2003年十勝沖地震 (M8.0) - 震度5強。重傷者15名、家屋被害。


 地震をナマズのせいとか大昔の人は思っていたらしいが、こっちの人はタコの仕業だと思ってたのかな?

 太たちは釧路港に向かった。⚓

 北海道最大の穀物輸出入港であり、穀物飼料コンビナート(釧路飼料(三井系)、道東飼料(三菱系)、住友アグリその他)を有する。地理的に扇状に広がる東北海道の要、釧路川の河口に位置し同地における港湾物流拠点として古くから発達した大規模不凍港である。欧米から日本アジア各国へ輸送される穀物のファーストポートとして機能している。


 中華人民共和国政府による一帯一路構想において、「北有釧路 南有新加坡」(北の釧路 南のシンガポール)として対北アメリカ・対ヨーロッパ(北極海航路)「氷上のシルクロード」でのアジアの窓として、国際的に注目されている良港である。 ニューオーリンズ港、スワード港が姉妹港である。

 港近くのあばら屋に入ると怪しげな男が「やぁ、馬酔木」と軽く手を挙げた。 

「コイツは行町、幼馴染だ」

 韓国製の武器がたくさん並んでいた。

 K2ライフルを馬酔木は選んだ。

 5.56x45mm NATO弾を使用する韓国軍の主力小銃である。M16A1のライセンス生産で経験を積んだ大宇精工(大宇プレジション・インタストリーズ)が生産を担当している。


 アルミニウムやプラスチックを多用し、携帯性の向上を図ってストックを折り畳む事ができる事も特徴である。


 韓国各軍に供給されるほか、セミ・オートマチックの民間型も生産されている。


 太もそれを選んだ。

 

 巨大なタコの化け物は8本の足で襲いかかってきた。太はK2をぶっ放したがラートシカムイは死ななかった。

 馬酔木は何もしないで立ってるだけだ。

「手伝えよ!?」

「俺が撃ったら俺までやられる。そしたら蘇生できない」

「それもそうか」

 太は海底に引きずり込まれた。

 浮かび上がってきた太の死体にツバを吐きかけた。太は蘇った。

「助けてくれてありがとう」

 太たちは巡視船に乗り込み退却した。

「あの蛸はまだ倒せないようだ」

 太は愕然とした。


 

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