第3話 タリウム

 太は寧をどうやって殺そうか戸惑っていた。

 ベンゼンでも使うか?六角形の形をしているので、亀の甲と呼ばれる。匂いが強く、発がん性を持つ。アセトンなら簡易型爆薬の原料にもなる。ヘルツ型フラスコを眺めていた。

 少量の蒸留の分留に広く用いられるフラスコだ。 

 タリウムもいいな?タリウム単体は毒物として使えない、酢酸タリウムか硫酸タリウムの化合物ならオッケーだ。 

 タリウムは淋病や梅毒、結核の治療薬として用いられた。近年では殺鼠剤として用いられている。

 幽霊になった今ならどんな時代にでもタイムスリップ出来る。731部隊に潜り込み、タリウムを盗み出した。

 1932年(昭和7年)8月、陸軍軍医学校防疫部の下に石井四郎ら軍医5人が属する防疫研究室(別名「三研」)が開設された。それと同時に、日本の勢力下にあった満州への研究施設の設置も着手された。そして、出先機関として関東軍防疫班が組織され、翌1933年(昭和8年)秋からハルビン東南70kmの背陰河において研究が開始された。この頃の関東軍防疫班は、石井四郎の変名である「東郷ハジメ」に由来して「東郷部隊」と通称されていた。


 1936年(昭和11年)4月23日、当時の関東軍参謀長 板垣征四郎によって「在満兵備充実に対する意見」における「第二十三、関東軍防疫部の新設増強」で関東軍防疫部の新設が提案され、同年8月には、軍令陸甲第7号により正式発足した。関東軍防疫部は通称「加茂部隊」とも呼ばれており、これは石井四郎の出身地である千葉県山武郡芝山町加茂部落の出身者が多数いたことに由来する。この際同時に関東軍軍馬防疫廠(後に通称号:満州第100部隊)も編成されている。1936年12月時点での関東軍防疫部の所属人員は、軍人65人(うち将校36人)と軍属105人であった。部隊規模の拡張に応じるため、平房(ハルビン南方24km)に新施設が着工され、1940年に完成した。


 タリウムを標津サーモン科学館近くの倉庫に監禁した寧に投与した。

 最初の頃は手足がジンジンするとか、髪が抜けるとか言っていた。嘔吐、腹痛、運動失調、発熱、肺炎、呼吸障害、循環器障害などを経て死んだ。

 💀

 

 1943年、諜報員の馬酔木哲平あせびてっぺいとその従者、鈴木正一すずきしょういちは、行方不明になった海軍の本多将太ほんだしょうた大将を捜索すべく、沢村隆一さわむらりゅういちが機長を務める飛行機に乗ってマーシャル諸島に向かう。嵐で遭難しかけたところ、ラジオ放送の電波をキャッチし、それを頼りに島に不時着する。


島には日本出身の徳田聰とくだあきら博士と妻、京香きょうか、姪の樹里じゅりが住んでいた。徳田博士にラジオ放送のことを尋ねるが、知らないと言われる。


 真夜中、鈴木が壁をすり抜ける女性の幽霊を目撃し、屋敷の中を調べてみると、書斎に樹里がいて催眠術の本を読んでいた。


 徳田博士の正体はアメリカのスパイであり、秘密を知った鈴木に催眠術をかけ、自分はゾンビだと思い込ませる。一方で、徳田は鴉に憑依し本多大将から情報を手に入れようとする。


 樹里は催眠術にかかった叔母を逆催眠で解放しようとしていたが、逆に徳田に催眠術をかけられてしまう。沢村も殺されてゾンビにされる。


 若いメイドの美波みなみのおかげで催眠が解けた鈴木は、馬酔木哲平とともに、徳川秀忠の絵を踏みつけるという儀式をしている徳田の屋敷にやって来た。マーシャル諸島の住人の大半はカトリック教徒で、過去に凄惨な弾圧を行った秀忠を敵視していた。

 徳川秀忠は元和2年(1616年)に「二港制限令」、元和5年(1619年)に改めて禁教令を出し、キリスト教の本格的な宗教弾圧とキリスト教徒に対して仏教への強制改宗が行われた。キリスト教に好意的で弾圧に乗り気で無かった京都所司代の板倉勝重に対して秀忠はキリスト教徒の火炙りを直々に命じ、元和5年(1619年)10月6日、京都六条河原で52名が処刑される(京都の大殉教)、この52名には4人の子供が含まれ、さらに妊婦も1人いた。元和8年(1622年)には計55名を長崎西坂において処刑(元和の大殉教)、中には3歳、4歳、5歳、7歳、12歳の子供が含まれていた。

 

 徳田博士から本多大将と美波を救出。徳田博士はゾンビとなった沢村たちによって殺される。

 

 

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