第2話 探し人
!?
君島が翻訳スキルを持っているのか?!
「こ、こうかな?…スキル{翻訳}!…ぶっ、豚さんっ…!!その人はあなたに話があるみたいなの!だから少しでいいから…お話してくれないかな?」
オークの動きが止まった。
どうやら君島の言葉が理解できたらしい。
「龍一君、今なら話せないかな?」
俺は頷き、オークに目を戻した。
オークの目は憎しみと悲しみを併せたような、形容しがたいものだった。
「俺の言葉が分かるか?オーク」
「何だ、人間っ!!…我たちはお前達に滅ぼされたんだ!こちらから話すことはないぞ!!!」
「待て待て!魔王の居場所は知らないか?」
「なにっ!?魔王様が生きてるのか?!」
「いや、可能性の話なんだが…知らないか…」
「貴様っ…!!もしや魔王様が生きていればなどと、また…!!」
「勘違いするな!逆だ!!俺も人間にはもう懲り懲りなんだよ」
「…どういうことだ?」
オークに語るのは気が進まないが、ちょうどいい。
君島もいる。
二人に俺の最期を語った。
「…つまり俺は人間にいいように【使われた】んだよ。だから魔王に会ってあの言葉の真相を聞きたいんだ」
「…ちょ、ちょっと待ってね!つまり龍一君はこの世界は初めてじゃなく…えーっと…勇者だったの?…で魔王を倒す直前で殺された…?」
「そう。だから俺はこの世界の人間が憎い。もちろん全ての人では人だろうけど、王族は全て…!!」
「あっ…そういえば、わたしもここに来たとき最初に宮殿?のような大きなお城の中で説明されたよ!クラスの子みんな!」
「みんな?!みんなだと?!君島だけじゃなかったのか?!」
「待て待て待て!!我をおいて話すな!!ともかく貴様が生きておるなら、魔王様も生きておられる可能性もあるのだな?」
「どうだろうな…最期に聞いた声は人語っぽかったし、その後意識がなくなった…あの場から魔王が生き残ったどうかは…」
………
暫くの間、熱気に満ちた会話に沈黙が訪れる。
と唐突に君島が口を開いた。
「…ねぇ、龍一君はどうしたいの?そして豚さんはどうしたいの?」
「「?!」」
「部外者のわたしが言うのも何だけど…あなたたちは争うべきでは無い気がするの…その、魔王様?に会いたい気持ちは一緒なら、一緒に探すべき…かなって…」
「…そうだな…なぁオーク、俺は元勇者だ。だがお前を殺さないし、2度と魔物を手にかけない。どうだ?一緒に魔王探ししてみるか?」
「…もし魔王様がご存命で謁見した際、魔王様のご意志とあらば貴様でも喰らうぞ?」
「それで構わない。行くか!魔王探し!」
かくして俺たちは魔王を探す旅に出た。
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