第9話
41
[あんたたちの店の売り上げはどんな感じだったの。][1日で1か月分の売り上げです。それと10万円の仕事が何件か入ったらウヒャウヒャ状態になっちゃいますよ。][ボクんちもだジョー。お父さんとお母さんがニコニコしているジョー。]
国内と海外の特派員協会との合同記者会見になった。
記者[1,600匹がここに集まってミャーミャーとやったら物凄いことになりますね。こんなことは前代未聞ですので大きなイベントになりますよ。][そうですね。ここが本当のパワースポットだということが証明されます。それと猫観世音菩薩の御利益がまちがいがないことを本能でわかるんでしょうね。そうじゃないと遠い所からわざわざやってきませんよ。]
記者[そういう感じがします。これが成功したらネコ寺の総本山という呼称を使ってもよろしいんでないんでしょうかね。世界中に分院ができるかもしれませんよ。]
42
[そうですね。猫寺は観世音寺の支院になりますで、観世音寺の支院ということにもなります。]記者[これだけの大事になりますと、官民一体でないと無理ですが協力は得られていますか。]
[もちろんですよ。元々市長からの要望ではじまったことですし、王様はネコ寺の大元の観世音宗の門主でこの件でいろいろなアドバイスも受けています。]記者[市側としても世界のどこにもない催しを、年1回の恒例行事にして観光客を呼び込みたいでしょうね。それではみなさんの活躍を期待しています。]
今日は猫寺の朝の勤行に一般客が参加できる日であるが、先着50名の受け入れに対して70名ぐらいが来ている。廊下にはみ出た人達には廊下に座布団を敷いて対応した。子供達3人組も様子を見に来ている。和尚さんの脇には25匹の猫達がきちんと整列している。市役所の広報も動画を執る準備をしている。
43
定刻の6:00になったので観世音菩薩の真言の唱和が始まった。和尚さんや信者の唱和と猫達25匹のミャーミャーミャーが妙に調和がとれた感じになっている。広報はしきりに頷きながら動画を撮影している。約40分続いて終了した。
[親分、なんかとてもいい感じでしたね。玄関に置いてある賽銭箱には来る時よりも帰るときの方が入れているみたいです。][それはいいことね。納得した証拠だからまた来るわよ。それより和尚さんが甘酒を入れてくれるそうよ。][それはいいジョー。1日の活力になるジョー。]
[一般客の中に前の取材を受けたBBCCとガーディアンアンの記者がいたので、英国のテレビや新聞に載るわね。][お客さんがたくさん来るジョー。お土産が売れるジョー。]
猫の法要が終わった後に隣接している空き地に、2千人前のふるまい牛乳と煮干しが提供されることになっている。家猫はいいとして栄養の悪い野良猫用のものである。
44
市の広報だけでなく明日香王国の広報も王様の要請で、全面的に宣伝活動に協力をすることになった。その結果ネコ寺だけの敷地では対応できなくなり山門からネコ寺まで700メートルの参道沿いの両サイドにも5段の階段上のスタンドを設けることになった。
これだけ事が拡大してしまったのでネコ寺だけでは対応しきれないため、老師は仏教センターの事務長に仕切らせることにした。事務長はここの観世音寺出身で先日の猫観世音菩薩の落成式も仕切ったので適任である。国の広報の呼び込みが功を奏したのか超高級ホテルのホテル江戸時雨やきゃら駅近くのホテルはほとんど満杯状態だということだ。
ター坊[あんまり忙しいと手伝いがたいへんだな。][そうだジョー。少し忙しいのがいいんだジョー。]
[何言ってるの。明日の稼ぎはわからないんだから、稼げる時に稼いどかなければいけないでしょう。
45
子供3人で参道沿いのお土産屋を見回っている。先日、要請でグッズを増やしたところである。[あらタエちゃん。この前はどうもありがとう。][売り上げはどうですか。それと在庫は大丈夫ですか。][おかげさまでたくさん売れたけれども、在庫も多くしておいたからまだ大丈夫だわ。足らなくなったらお願いね。][はい。わかりました。気軽に連絡ください。]
[王様から仕事を手伝っているので、またホテル江戸時雨の社食と酒まん一皿とジュースがOKになったわ。][ここの社食と酒まんじゅうはおいしいからね。久しぶりに行ってみようか。][ボクは行くジョー。おまんじゅうを食べるジョー。]ター坊[基本通りに社食から酒まんとジュースのコースですよ。][ボクもター坊と一緒でいいジョー。]
超豪華ホテルのホテル江戸時雨は日光東照宮のような雰囲気の建物で、江戸時代のお城の天井絵や江戸彫の彫刻が至るとこに施されていて1泊8万5千円からの料金設定になっている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます