第6話

26

これからネコ寺が人気になるので門前町商店街の要請で背中にPOLISの文字が大きく入って、胸にも警察署のマークのワッペンとPOLISの文字が目立っている。王宮警察署から準警察並みに格上げされたのである。商店街が資金を出し、きゃら市駅そばの福丸デパートが作ったのである。


[親分、この格好は気分がいいですね。最近ごみのポイ捨ても多いので捕まえられますよ。]

タエの友達のおヨシの定食屋に行ってみた。いつものようにネコ寺から貰われていったキジトラの地毛に薄いエンジの僧衣文様が入った子猫が、タエの父親の飼い犬の力丸と一緒に寝っ転がっていた。[このネコも可愛いジョー。お腹を上に向けているジョー。]

かき入れ

おヨシ[このネコも落成法要に参加させていいかしら。このお寺出身なのでほかのネコとお経を唱えるのには慣れているわ。][そうね。大丈夫だと思うけれど、一応和尚さんに言っておくわね。]

27

3人が参道を歩いていると、新門から仕入れている宗教グッズなどを売っているお土産屋のおばちゃんが、[ネコ寺の2店舗で売っている王様がデザインした15種類のネコグッズをこちらにも回してくれないかしら。これからかき入れ時なのに緊急に必要だわ。それとせっかく世界一の猫の銅像ができるのに、イミテーションのお土産用の安価のものでいいから3種類ぐらいは欲しいわね。]


[いつも仕入れてくださいまして、ありがとうございます。おっしゃられたことはよくわかりました。早速に王様と父に相談をして対処しますので、少々お待ちください。]予定を変更して王宮に来て、お土産屋のおばちゃんが言ったことを話している。


[そうだな。これから参拝客が多くなるので売れるものを揃えなければならんな。2店舗限定品は他でも出していいでしょう。それから銅像の安いイミテーションだな。800円1,300円2,000円3,000円5,000円にしようかサイズを変えて同じものだけれどな。

28

半値で新門さんが仕入れられなければならんわな。ちょっと待ってな。ゴンちゃんにユリちゃん聞いていたと思うけれど、見本の5種類を出して子育て猫観音の新グッズを8種類作ってみますか。]ワンワンワン。”グッ”すぐに見本が出てきた。


タエ[どれも売れるものだと思います。][これはいいジョー。売れるジョー。][こういうのがあればお母さんたちも喜ぶと思います。]それでは分身で安価なものは2,000個で高価なものは1,000個作るので後で取に来なさい。取り合えず作っておきましょうか。ワンワンワン。”グッ”すぐに分身して並べられた。


[後はそちらに任せますので好きにやってください。][ありがとうございます。父に言って、すぐに対処をさせていただきます。それでは失礼します。]

すぐに父親の新門辰五郎が手下を2人従えてやってきた。[王様いろいろとどうもありがとうございます。おかげさまで落成式には万全の態勢で臨めます。]

29

[これは鯨サブレーの望洋堂が、猫サブレーを新発売しましたのでどうぞお収めください。][それはどうもありがとう。お土産屋で一緒に売られると望洋堂は有名なので喜ばれるわな。]


[とても魅力的なものですが、仕入金額はいくら納めればよろしいんでしょうか。][はっはっはっ。原価がタダだからな。全部が見本で試供品だと思えばいいよ。]ワンワンワン。[御大もそれでいいと言っているのでそれでいいよ。][それでは今回はありがたく無料でいただきます。ありがとうございました。]手下に命じて手際よく運んで行ってしまった。


ター坊の福屋や福猫にも安い銅像の複製品や子育て観音としてのネコグッズ8種類が計13種類並べられた。ター坊[これでぼくんちも準備できたよ。][ボクんちも売れるように配置を替えてOKだジョー。]参道沿いのお土産屋はすべて新門からの仕入れなので、3人が確認に行っている。この前のお店[タエちゃん随分と手際よくできましたね。これで安心ですよ。]

30

[ありがとうございます。王様の協力で何とかなりました。これからも何かありましたら遠慮なくお申し付けくださいませ。]続いて観世音寺の老師のところにやってきた。


老師[お土産で頑張っているようだね。][はい。王様の支援でなんとかなりましたが、これから仕入れのルートも確立しないといけないので、軌道に乗るまではもう少し時間がかかります。老師様にお伺いしますが、ここの場所全体でなんか不思議なことや噂話で普通では考えられないことなんかありますでしょうか。そういうことには私を含めて若い人は特に興味を示しますので。]


老師[不思議なこては聞いていないが、こんな話ならあるぞ。20年ほど前だけれどネコ寺や観世音寺の境内のいろいろな建物を建てた大工の職人が、夫婦で交通事故に会い死んでしまったんだけれども、3歳の子供が残されておじいさんにおばあさんが途方に暮れていて生活は寺や職人の頭領が面倒を見ていたんだけれど、子供のことがな。]

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る