第三十三話 誤植じゃないよ

「ここからは、僕が展開を支配する!」


 リカルドがそう宣言し、エースとジョーに   歩みを進めた。

 エースもジョーも、     怯える素振りはない。得体の知れ    だが、     に強敵とは戦っ   。     リカルドから致命的         わけではないのだ。こちらの攻撃が         すれば、      逆転すると思っていた。


「消せる文字数、かなり増えたな!」


 リカルドの声がはずむ。


「相変わらずワケ分かんねーんだよ!」


 ジョーが地面から創り出した    左右一本ずつ、    構える。


「くっ! 錬金術は発動してんのに、なんで物がなくなるんだ!?」

「相変わらず、術そのものはまだ消せないのか」


 ジョーの嘆き    、リカルドは      確認する。


「自分で能力を使いながら理解することで、どんどん強くなっていくみたいだからね」


 あー、また地の文     ったね?


「ジョー、これを使え」


 そう言ってエースが差し出   は、さっきリカルド    シャベルだった。


「は? なんでオレ様がこんなもんを」

「これは犬の墓を暴いたシャベル。重要なアイテムのはずだ」

「だからってなんで」

「もしかしたら、伝説の『墓掘りグレイブディッガー』、『エクスシャベラー』かもしれないぞ」

「なに!? グレイブディッガー……エクスシャベラー……なんかカッコイイな!」


 いや、むしろバカっぽいと思うが?

 ジョーが“シャベル”を振り回してみる。


「け、消せない? まさか本当に、物語上ある程度重要なアイテムは消せないのか?」


 確かに、それを無いことに   、犬を掘り     出来なかったわけだから。

 ジョーがシャベルを使いやすいように、錬金術で薙刀のような形状に変化させる。それをブン     回し、構える。


「はっ、まずは攻撃の取っ掛かりは確保出来たわけだ」

「だからどうした? どんな武器でも、どんな攻撃でも、当たった事実を無くしてしまえばいいだけの話だ。問題無い」


 リカルドは言い切ったが、それは     を拭うために自分に          ようでもあった。


「青雲剣衝!」


 唐突にエースの放った必殺技が、リカルドに襲いかかった。剣撃から発した衝撃波が、植木    ともにリカルドを     。

 それを追うようにジョーが迫る。


「グレイブシャベラーの威力を見せたらぁ!」


 新たな造語を    、薙刀の   繰り出す。この      経験からか、       一気に表現されないよう、切り   、  、  上げ、回転から    と、一つずつ確実に攻撃を    た。リカルドにジョーの   攻撃を        なく、次々と            いった。

 だが、天性の戦闘センスで文字数を      、       半分を無かったことに    、   打開出来ようもなかった。


「クソッ! どうにかならんのかエース!」


 ジョーがエースに      、エースも    案が          。

 リカルドのステータスウィンドウが淡い光を発する。いつの間にか《技能》が《けっこう》になっていた。

 リカルド  狂気の笑     。

 そこ、消す必要   ? 消  分だけ負担が     しょ?


「ははっ! 今更も今更だよ。今強くならないと意味ないんだ。今すぐにでも《役割》を進化させて《書く者》にならないと、負けることはなくても勝つことも出来ないからね。限界なんて、とっくに超えてるよ!」


 それはつまり、                          ことだ。

 それを聞いたエースとジョーも、         前に               が。


「なんだ、考えもまとまんねー」

「ジョー! 取り敢えずなにか喋れ! そんでなんでもいいから術や技を使え! リカルドはまだセリフや固有の技や術は操れない!」


 エースは              、リカルドの         その能力       。


「喋れっつったってよ。じゃああれだ、このジョー様の一撃が、くそ生意気なイカれ野郎の首を一撃で切り落とした!」


 言いながらジョーは    元シャベルの薙刀を   。それはリカルドに      錬金術によって大鎌へと変化し、        彼の首      。


「ただの宣言は結果を伴うわけじゃない。いい見本だね」

「無触刀鳴……」


 エースが     技のうち、奥義といえる一撃必殺の技を使う。   空間そのものを斬り裂くようなその一撃は、触れれば硬さ     両断さ  。手加減                躊躇ためらって   、                   無い。手足              ないはずだ。

 その一撃は、両     リカルドから   。


「うんうん、エースくんも容赦がなくなってきたね」


 ジョーが    。手にした元シャベルを、次々と変化させて攻撃する。槍、ムチ、メイス、ヌンチャクと、                リカルドが          、           。


「惜しいね、もう少しで届くかもよ?」

「さすがにこれは」

「ちょっとキチーぜ」


 エースとジョーが珍しくぼやく。


「正直、自分がちゃんと立ててんのかもわからんなってきた」

「行動の意思と結果に差がありすぎて、認識が出来ない。いや、認識出来ないことを認識出来ていない、みたいな」


 状況を    整理       、    認識の                 、           なかった。

 満身創痍。         、        。

 ただ、まだ         。エースは剣を構え、リカルドに    。ジョーは、無駄              、錬金術で周囲の物体を変化させ、エースを    。今         、       。


「無駄だよ。きみたちの決意こそが、僕に経験を積ませ、力を強くするんだ」


 言葉通り、幾度目かの《技能》の強化。リカルドのステータスウィンドウが光を放つ。


「リカルド、もう止めよう! 俺はリカルドくんと戦いたいわけじゃないんだ! こんな、世界を敵に回す力なんて使わないで、一緒に解決策を見つけよう!」

「今更そんなことを言うのかい? 言ったろ、もう手遅れなんだ。他に方法なんてないんだよ。エースくんて、強いだけで案外バカなのかな」

「テメェ、ザケたこと抜かしてんじゃねーぞ!」


 リカルドの     、ジョーが   。


「エースがどんだけ仲間思いか、人を大切にしてるかわかんねーのか! そっちの方がよっぽどバカでアホでマヌケでハゲでハナクソだぞこの      !」


 それは、   一線を超えた瞬間   。


「消せた! セリフが!」


 リカルドが喜びの声をあげた。


 次の瞬間、エースの持つ『偽りの達人マスターフェイク』が、リカルドの左胸を貫いていた。

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