第10話 【2日目午前】 作戦

「もういい! 俺たちは勝手にやらせてもらう!」


「おい、待て! ベント! お前ら!」



ボスの制止を無視し、ベントとベントに賛同する数名の運び屋たちが武器を装備し、鳥乗する準備を始めた。



「コルテロ、お前も来るよな?」



ベントは声をかけた。顔は笑っていたが、彼の瞳には狂気がはらんでいた。



「素人が騎士一団に突っ込むのは自殺行為だ。 それに・・・すでに俺は、依頼を受けた」



一瞬、ベントの顔が無表情になったが、すぐにまたあの狂気じみた笑顔に戻った。そしてベントは背を向けた。



「ああ!そうかよ! てめえはどこまで行っても軍人なのかよ! コルテロ! お前こそあの騎士のおっさんと心中しやがれ!」



ベントは俺に背を向けたまま、鞍を乗せたトリたちのところへ向かった。



「おいお前ら! ヤケになってんじゃねえ! いい加減に・・・」


「ボス、待ってください」



コルテロはなおもベントたちを制そうとしているボスを止めた。



「大隊長も、ここから脱出する算段があります」




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「コルテロ! 貴様正気か?! 我が主にそんな危険な橋を渡らせられるか!」


「いや、だんな・・・団子になって逃げるよりは現実的だと思うぜ。 時間もねえ、俺は賛成だ」



そうだ、もう時間がない。外ではすでに人間とトリの咆哮や発砲音が聞こえてきている。急がなくては。



「っく・・・そ、その作戦で行くとして、姫さm・・・我が主を誰が乗せるのだ!?」


「俺が運ぶ」


「?!確かに、今いる人間の中で一番生存確率が高いのはコルテロだが、しかし・・・」


「大隊長、俺は既にボスを通してあんたからの依頼を受けた。 俺が運ぶと言ったら何があっても運びきる。 約束しよう」


「だんな、俺からも言わせてもらうが、坊主は『救国の英雄』なんて呼ばれてる軍人だったみたいだが、今は腕の立つ運び屋だ。 信用は十分に足る」


「・・・分かった・・・それでいこう」



それからすぐに作戦の準備に取り掛かった。幸い、鳥乗の準備は話に参加していなかった飼育職員が大方済ませておいてくれていた。コルテロが小銃の動作確認をしていると、ゴウンゴウンと低く大きな音が響いた。厩舎の大扉が開けられ、先に準備を済ませたベントたちが飛び立つところだった。


ベント率いる6人の運び屋はその決意を示すように、地上でトリに翼を一度大きく羽ばたかせると、後ろを振り向きもせずに空へ飛翔した。







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