第24話 恋愛の甘さ
晴夏の毎日は目まぐるしくぐらい忙しかった。
大学に入ってから新しいことと体験が多くて、慣れるまで時間がかかった。ようやく慣れたと思ったが、二学期に入ると、生活ペースはまた一変した。
文学部の課題はとにかく多かった。本や資料を読むだけで結構時間がかかって、レポートや課題の量も半端じゃなかった。だけど、授業の内容はとても面白いので、晴夏はそれを苦労とは思わなかった。
しかし、演劇部では自分の責任も同時に重くなった。秋になってから、4年生は卒業して、1年生である晴夏でもやることが多くなった。資料の準備、リサーチ、台本書き、創作会議、演技指導などをしないといけない、その上クリエイティブチームには元々人数が少ないから、牧野部長がいないとさらに深刻な状況になった。やっぱり、来年の春、もっと新入生をこのチームに招いた方がいいと思った。
秋の公演は主に3年生や2年生が担当するので、1年生である晴夏はサポート役になった。だけど、陸翔みたいの主演俳優は休めることなく、夏の公演が終わったすぐ、秋の公演の稽古に入った。
陸翔は天文学課の課題で最近天文台やプラネタリウムを回ることになって、晴夏は時間がある限り同行することになった。夏休みから付き合い始めた二人にとって、この天文台ツアーは忙しい日常の中にデートができるチャンスでもあった。天文学についてあまり詳しくない晴夏でも分かってもらえるように、陸翔が熱心に天文学のことを説明した。この時の陸翔は舞台上に立つ時とは違う魅力を放っていた。
最近真琴の様子は元通りになったみたいで、晴夏は一安心した。だけど、真琴を刺激しないために、陸翔とはなるべく彼女の前に恋人同士感を出さないようにした。例えば、陸翔は晴夏たちの家に訪れる時、手をつないだりハグなどのことを真琴の前にはしない。しかし、この二人の気遣いに申し訳ないと思う真琴は、時々二人きりにさせるために、自分で出かけるすることになった。真琴は晴夏にこう言った。
「私のことをあまり気にしないでよ。恋愛中の人はイチャイチャしたいのは分かるからさ。それに、陸翔はあなたを触れたくてもできないって丸見えだし、すごく我慢しているように見えるから、彼が可哀想と思う。好きにすればいいよ、でももし私に邪魔させたくないなら、事前連絡はお願いしますよ。同級生の部屋で一晩泊まれるからさ…ハハハ~」
晴夏はこういうふうに自分と陸翔のことをいじっられるなら、真琴は多分大丈夫だろうと考えていた。
秋の公演は無事に10月中旬に終わって、次の公演の準備に入るまで二週間ほどの休みがありました。
陸翔の誕生日は11月で、晴夏のは12月だ。それで、二人はこの休み期間を利用し、どこかでプチ旅行をしたかった。学生である二人には、そんなに遠くへいける金はないから、結局近郊にあるキャンプ場へ行くことを決めた。このキャンプ旅行は二人にとって、恋人になってから初めての旅行で、それと初めて一緒に過ごす誕生日だ。
キャンプへ行く当日、陸翔は友達から借りた車を運転して、晴夏の家まで迎えに行った。キャンプ場へ向かう途中、陸翔は助手席にいた晴夏を何度も盗み見してずっとニヤニヤした。その熱い視線を感じた晴夏はちょっとイラっとした。
「あのね、桧垣陸翔さん、ずっとニヤニヤして本当に気持ち悪いですけど。」
「うれしいだから、晴夏が俺の傍にいて。」
そう言った陸翔は満面の笑みを晴夏に見せ、晴夏は彼の言葉で恥ずかしくなった。
「大げさだね。もう運転に集中してよ。」
「だってさ、半年前は今日という日が来るって全然想像できなかった。」
「半年前?」
「千葉での合宿。その時、後部座席で一緒にいたじゃない?ずっとあなたを見ていた。」
「ええ、その時から私に惚れたんだ~」
「正確に言うと気になった。だって、俺に結構悪い態度を取っていたじゃない、あの時。どうして気に入らないのかを知りたくて。」
「初めて出会った時はすごく感じ悪かったよ。何あれ?派手な登場、そしてキャーキャーする女子の歓声、まるで大スターみたい。」
「周りはキャーキャーしたいから、俺が煽ったわけじゃないだろう。」
「女子に注目されてまんざらでもない顔して。」
「だからそれで嫌われたの?」
「そうだよ。」
「で、もし俺は将来デビューしたら、もっと多くの女子がキャーキャーする時どうする?まさかそれで俺と別れたいわけ?」
「どうでしょうね~」
「俺は絶対別れないからな、覚えとけ。」
「逆にあなたはきれいな女優さんと共演し浮気したら、私は絶対あんたと別れるからね。」
「そういう日は来ないから。」
「だからまだ先が長いし、約束なんかしないで、行動で示す方がいい。」
「おお、行動で示すか?後で逃げないでよ、俺の愛をしっかり受け止めろ。」
これを聞いた晴夏はすぐ笑い出した。
「ここは舞台じゃないから、あんな甘すぎるセリフを勘弁してください。」
「心から言うセリフだけど。」
「はいはい、そうですか。もうやめてよ。」
晴夏は自分の笑顔を陸翔に見せないように、車窓から外の風景を眺めていた。しかし、陸翔はサイドミラーの反射から晴夏の表情を確認できたので、何を言わずに笑顔のままだった。
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