第21話 帰省の恋バナトーク
夏休み最後の一週間、晴夏と真琴は実家にある静岡市へ一緒に帰った。
晴夏は自分と陸翔が付き合い始めたことを真っ先に真琴に伝えたかったが、その時真琴はまだ兵庫にいたので、彼女が東京に戻ってから直接話そうと思っていた。しかし、帰ってきた真琴の様子がおかしかった。いつものように笑っていたけど、何となく憂鬱な感じに包まれて、そして何かを悩んでいるように見えた。それに、旅行二日目の夜、明らかにハイテンションの真琴はいきなり晴夏に電話をかかって、すごく楽しんでいたのに。わずか二日でこんな異変が起きて、きっと何があった。
こういう時は真琴に何を聞いても、絶対大丈夫だよとしか言わないから、晴夏は真琴が自分の気持ちや考えを整理できるまで待つことを決めた。それで陸翔にちょっとの間二人の関係を公しないことお願いした。陸翔は理由を聞いて理解を示したと同時に、晴夏にあることを言った。
「真琴の気持ちをここまで左右できるのはやっぱり窪田じゃない?」
「何でここに窪田の名前が…」
「真琴の誕生日会の時、窪田と出身地のことを話したよ。確かに姫路だっけ、彼の地元は。」
「そんな話いつしたの?」
「あなたと真琴は一時席を外した時かな?で、まさかと思っただけど、二人は兵庫で会って、そこで何かがあったかな?」
「確かにそれはありえるね。また彼に傷つけたじゃないかな?」
そんな心配な気持ちを抱えながら、晴夏は帰省中の電車でずっと真琴のことを気にしていた。真琴はそれを気づいたが、もうちょっと気持ちを整理する時間が欲しかったので、あえて晴夏の行動に反応しなかった。
静岡に着いた時、二人は別々で実家に帰った。
晴夏の帰りを大歓迎してくれた家族と対照的に、真琴の場合はただ母親が家にいたので、ちょっと寂しい感じがした。それにも関わらず、真琴の母は娘が大好きな料理を用意して、二人は久しぶりに親子水入らずの時間を過ごせた。正直に言うと、父がいない方が気楽だから、丁度この時期どこかでシンポジウムを参加するために家にいなかったので、真琴にとってある意味ラッキーだった。
帰省後の三日目、真琴は晴夏の実家に訪れた。そこは真琴にとって本当の実家みたいで、すごく心地良い場所であった。晴夏の祖父母がたくさんのごちそうを用意してくれて、お父さんも自分の出版社から数冊建築関連の本を真琴にプレセントした。真琴は思わず晴夏のお父さんと自分の父親に比べてしまった、そして晴夏を羨ましかった。昼飯の後、晴夏と真琴は高校時代からずっと散歩していた海沿いのルートへ行った。
散歩を終えた二人は海辺にあるベンチに座り、静かに海を眺めた。そして、真琴はようやく話をしてくれた。
「何も聞かないの?」
「マコが話してくれるまで待っているよ。どう?気持ちが整理できた?」
「本当に見抜かれていたな。はい、今はある程度落ち着いたから、すべてを話す。」
真琴は兵庫で窪田を偶然出会ったこと、そして淡路島の出来事もすべて晴夏に打ち明けた。全部を話した後、真琴は本当にすっきりした。
「なるほど、それで気持ちが落ち込んでいたか。リクの言う通りだね、あなたの気持ちをここまで左右できるのはやっぱり窪田って。」
「心配かけてごめんね。」
「で、窪田からのメッセージどう思う?あなたに諦めろと言ったのに。」
「ここまで言われたら、距離を置くしかないでしょう。」
「気持ち的にはまだ諦めていないの言い方だね。」
「諦めるには時間が必要、でも本当にできるかはまだ分からない。」
「まあ、自分のペースでやればいい、焦る必要はないからね。」
そういった晴夏は真琴の手を握り締めた。
「でも、彼のことを嫌いにならないのも事実だよ。最初はすごく悲しんだり、怒ったりしたけど、冷静になってから、それは彼なりのやさしさだと思う。このままだと、私の感情をどんどん深くなったら、もっと傷つけるでしょう。だから、早めに間接的な断る方がいいかもね。」
「今更まだ彼の肩を持つだ、あなたって本当に重症だよ。」
「私をからかうより、あなたの方こそ何か発表したいでしょう?晴夏ちゃん~」
真琴は意味深いの笑顔で晴夏を見つめた。
「もうバレた?」
「まあ、先週ぐらいから異変を気づいた。」
「どこから?」
「あなたの携帯ずっとメールが入ってきたので、そのブルブル音は本当にうるさいだよ。それと、深夜の電話。あなたは長い時間電話で話すようなキャラじゃないし、いきなりそうし始めたから、やっぱり変だね。」
「鋭い、相変わらずの探偵マコね。あなたは兵庫から帰ってきた日に言おうと思ったが、あなたの調子がよくないから辞めた。」
「リクといつから始まったの?」
「あなたが兵庫にいたころ。」
「彼はようやく告白されたんだ?」
「前はヒント程度だけど。今回はストレートで。」
「ええ、もっと早くそうすればいいのに。ハルはなぜ今その一歩前を踏み出せたの?前はあんなに否定的な態度だったじゃん?」
「もう考えすぎるのをやめただけ。今の気持ちを素直に受け入れたい。」
「ええ、てっきりリクは何年も待たなければいけないと思ったのに。」
「あいつは人を待つようなキャラじゃないでしょう。」
「リクはせっかちだからね、だから毎日何度もメールと電話をして。よっぽどハルのことを惚れたみたい、会えないと我慢できないみたい。しかし、よくここまで待っていたよ、だって誕生日会の時から彼の気持ちもう明白だし。」
「その時から気づいたの?」
「あなたは見ぬふりしただけど、周りはちゃんと気づいたから。」
「結局彼に参りました。」
「幸せそうでなによりも。」
「ちょっと後ろめたさはあったよ、この時マコに私たちのことを言うのは。」
「私の恋がダメになっても、ハルの恋が実ればそれでいい。」
「実るかどうか、結論はまだ早い。」
「未来のことはどうでもいいよ、今を楽しめば。」
「じゃ、リクの友達とダブルデートをしない?いい男を紹介できるかも。」
「今は遠慮します~」
「何なら演劇部のやつもあるよ。」
「だから、今は男のこともう考えたくないの。」
「ダメになった恋を乗り越えるために、新しい男を見つける方が一番いいって。」
「あんたね、自分で恋すればいい。私のことをほっといてよ。」
残りわずかの夏を満喫していた二人は、夏休みの終わりに東京へ戻った。新学期が始まる同時に、二人の恋愛状況も新たなステージに入った。
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