13.人に戻った王さまと鳥になった魔法使い

王さまが下に目をやると、町の真ん中の広場には人々が大勢あつまっておりました。


不思議に思ってよく見れば、そこはまさに、にせものの王さまが何人かの人たちを

処刑しようとしている所でした。

人々の声に耳を聞いてみると、さしたる罪とも呼べないような罪のようです。

王さまはさっそく、ソラトに教わった言葉を思い出しながら、にせものの王さま

めがけてフンをしていいました。


ジヴェナ、レぺ、エヘト、カンヘート偽物を与える時には、私たちの物を与える

ジヴェナ、レぺ、レヘエヘト、カンヘート偽物を与える時には、私たちの物以外は与えない。」


すると、その言葉を言い終わるかどうかといううちに王さまの姿は元の姿に、

魔法使いは鳥の姿になりました。


人々は、目の前の王さまが消えたと思ったら、次の瞬間には空から降ってきたので

びっくりしていましたが、王さまが処刑を止めてこれまでのことを説明すると、

みな、北の方を向いて口々に感謝の言葉をのべました。


王さまの頭の上では、一羽の鳥がうろうろと飛んでおりましたが、近くでそれを

じっと見ていた大きな鳥が、さっとさらっていってしまいました。


王さまは宮殿に戻ると、まっさきに大臣のことを聞きました。

家来がいうには、王さまが元に戻ったのとちょうど同じ時間に、ふっと消えてしまったということでした。


王さまは大臣のことを国中で探させましたが、何日たっても見つかったという知らせは一向にありませんでした。

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